熊本県議会 > 2018-09-20 >
09月20日-02号

  • "規律"(/)
ツイート シェア
  1. 熊本県議会 2018-09-20
    09月20日-02号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成30年 9月 定例会               第 2 号              (9月20日)  平成30年  熊本県議会9月定例会会議録     第2号平成30年9月20日(木曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第2号  平成30年9月20日(木曜日)午前10時開議 第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            前 田 憲 秀 君            岩 田 智 子 さん            濵 田 大 造 君            磯 田   毅 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            西   聖 一 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            浦 田 祐三子 さん            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            森   浩 二 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            岩 中 伸 司 君            城 下 広 作 君            氷 室 雄一郎 君            鎌 田   聡 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            小 杉   直 君            前 川   收 君            西 岡 勝 成 君            山 本 秀 久 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  坂 本   浩 君     総務部長   池 田 敬 之 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 古 閑 陽 一 君     環境生活部長 田 中 義 人 君     商工観光労働            磯 田   淳 君     部長     農林水産部長 福 島 誠 治 君     土木部長   宮 部 静 夫 君     国際スポーツ            小 原 雅 晶 君     大会推進部長     会計管理者  能 登 哲 也 君     企業局長   原     悟 君     病院事業            三 角 浩 一 君     管理者     教育長    宮 尾 千加子 さん     警察本部長  小 山   巌 君     人事委員会            田 中 信 行 君     事務局長     監査委員   濱 田 義 之 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 田 勝 也     事務局次長            横 井 淳 一     兼総務課長     議事課長   中 村 誠 希     審議員兼            村 田 竜 二     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時2分開議 ○議長(坂田孝志君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 代表質問 ○議長(坂田孝志君) 日程に従いまして、日程第1、代表質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人100分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 自由民主党池田和貴君。  〔池田和貴君登壇〕(拍手) ◆(池田和貴君) 自由民主党池田和貴でございます。本日で16回目の登壇となります。初めての代表質問としての機会をいただきました。先輩、また、同僚議員の皆様方に、心から感謝申し上げたいと思います。 また、本日は、自民党総裁選挙の投票日でもございます。なお、熊本地震で被災を受けたこの議場も、全ての改修が終わり、大型スクリーンを使っての質問のこけら落としということでございます。最初であるということ、いろんなことから大変欲張って質問をしておりますので、執行部の皆様方には簡潔に御答弁いただきますようにお願い申し上げまして、早速質問に入らせていただきたいと思います。 まず、障害者雇用の問題についてお尋ねをいたします。 約1カ月前に、中央省庁における障害者雇用の、いわゆる水増し算入問題が発覚したのをきっかけに、各行政機関で実態調査が行われてきました。 一部報道では、雇用率の算定に関して、約半数の都道府県において、厚生労働省ガイドラインに基づかない不適切な取り扱いがなされていたとも言われています。 まことに残念ながら、本県及び教育委員会においても、ガイドラインと異なった取り扱いがあり、適切な算定が行われていなかった、つまり障害者であると確認できない方を算入して雇用率を報告していたという調査結果が、今月4日に公表されたところでございます。 法を運用する立場であり、また、障害のある方々が積極的に社会参加ができるよう、県民、事業者に理解や配慮を求める立場でありながら、このような取り扱いがなされていたことは、大変遺憾であり、県には反省をしていただきたいと思います。 なぜこのような事態を招いたのか、今回検証がなされたと思いますので、今後は法やガイドラインに基づいた取り扱いがなされるよう、きちんと策を講じていただくとともに、改めて算定した結果、法定の雇用率を下回ることとなった現在の状態を早急に改善していただくことが必要であります。 法定雇用率の早期達成に向けてどのように取り組むのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 障害者雇用率の算定において、国のガイドラインと異なる取り扱いがあるとの一連の報道を受け、私は、直ちに担当課に対し、適切な調査と9月初旬までの早急な報告を指示いたしました。 その結果、本県の障害者雇用率は、法定雇用率を下回り、知事部局では約11人分、教育委員会では36人分の雇用が不足することがわかりました。 本県では、障害者の雇用の促進等に関する法律の趣旨を踏まえ、平成9年度から、身体障害者の方を対象に、別枠で試験を創設するなど、障害者の方々の雇用促進に努めてきました。 そのような中で、今回の問題が判明したことは、知事として大変残念であり、また、県民の皆様に対して、大変申しわけなく思っています。 皆様からの信頼を回復するためには、今回の調査結果を踏まえ、国のガイドラインに沿った適正な事務処理を行うことはもちろん、法定雇用率を早期に達成することが必要です。 具体的には、教育委員会も含め、今後予定している身体障害者の方々の採用試験において、採用予定者数をふやすなどの取り組みを行い、平成32年4月の法定雇用率達成を目指してまいります。 あわせて、働く意欲と能力のある、より多くの障害者の方々が、公務の場で働くことができるよう、働きやすい職場環境づくりを進めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま知事からは、法定雇用率を守れるように努力をしていくという答弁をいただきました。 まさに法を守る立場でありながら、それが達成されていないことは大変遺憾でございますので、これをしっかりやっていくということが大変重要であります。 そして、さらに考えていただきたいことは、今回の法定雇用率については、身体障害者知的障害者の方に精神障害者の方を含めた、いわゆるこれで法定雇用率がされております。ただ、障害者は、さらに法律で範囲が広げられまして、難病の方やいわゆる発達障害の方々も障害として、法律上認められているところでございます。こういった方々をどうやって、働きたい方が雇用につけるのか、こういったこともさらに踏み込んで、国の方針を待つだけではなくて、県としても考えていただきたいということを要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。 蒲島県政の第3期は、まさに熊本地震とともに始まったと言えます。昨年9月の定例会において、自民党代表質問で前川議員が指摘をされておりましたが、蒲島知事3期目の始まり、初登庁の日は、平成28年4月16日、本震の発生の日でした。 発生後のさまざまな困難に対応しながらも、知事は、蒲島県政3期目の基本方針である熊本復旧・復興4カ年戦略を、地震発生から約8カ月後の平成28年12月に策定をされました。 復旧、復興に向けての全ての取り組みを包含するとともに、地方創生の基本的な計画として平成27年10月に策定した、まち・ひと・しごと創生総合戦略を一本化し、熊本の将来の礎を築くための施策を掲げました。 この戦略に基づき、熊本の復旧、復興とさらなる発展に向けて、県はもちろん、県民、事業者、そして我々県議会も一緒になって日々懸命に取り組み、多くのことが前進をしております。 知事の3期目は、残すところ約1年半となりました。これから3期目の仕上げとなる平成31年度予算を編成されることになりますが、それは蒲島知事が、この任期中、政策的予算を御自身で編成できる最後の予算となります。そこに向けて、今、蒲島県政の現状、つまり復旧・復興4カ年戦略に基づく取り組みがどのように進捗し、それをどう自己評価されているのか、そして、3期目の最終年度に向けてどのような課題があると認識をされているのか、知事に御答弁をお願いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 平成28年に策定した蒲島県政3期目の基本方針、熊本復旧・復興4カ年戦略は、折り返し点を迎え、3年目となりました。 私は、この4カ年間は、熊本地震からの一日も早い復旧、復興を目指し、全力を尽くすことが、知事としての最大の使命だという強い思いで取り組んでまいりました。 4カ年戦略は、創造的復興を通して、夢にあふれる新たな熊本の創造に向けて、4つの取り組みの方向性により施策を展開しています。 延べ133の指標について、本年8月現在で既に14の指標が目標を達成し、残りの指標についても、目標の実現に向けて着実に取り組みを進めています。 まず、安心で希望に満ちた暮らしの創造については、住まいの再建を強力に後押しする5つの支援策を展開し、現在2万人以上の方々が住まいの再建を果たされています。また、災害廃棄物の処理について、目標としていた発災後2年以内の処理完了をほぼ達成しました。 次に、未来へつなぐ資産の創造については、昨年8月、阿蘇への玄関口となる長陽大橋ルートが開通し、本年4月には、火口に通じる全ての登山道が開通するなど、阿蘇へのアクセスルートの回復が進んでいます。5月には、熊本天草幹線道路大矢野バイパスの供用を開始し、6月には、天草の﨑津集落の世界文化遺産登録が実現しました。 さらに、次代を担う力強い地域産業の創造については、農地復旧とあわせた大区画化などにより、営農再開を目指す被災農家の97%が営農を再開し、農林水産物の輸出額が目標を達成しました。商工業も、グループ補助金の活用等により、被災企業の復旧を進めています。また、トップセールスによる地震のマイナスイメージの払拭等により、昨年度の企業立地件数は、過去最高を記録しました。 最後に、世界とつながる新たな熊本の創造についてです。 コンセッション方式により阿蘇くまもと空港創造的復興に取り組むとともに、八代港を世界的なクルーズ拠点とするための整備を進めています。 また、いよいよ来年開催されるラグビーと女子ハンドボールの2つの国際大会の成功に向けて、着々と開催準備を進めています。 これらの取り組みを、単に点として終わらせるのではなく、有機的に線としてつなぎ、被災地の創造的復興、ひいては熊本全体の発展に、面として広げていくことが重要です。 一方で、残された最大の課題は、住まいの再建です。いまだ2万6,000人の方々が仮設住宅での生活を余儀なくされており、住まいの再建なくして県民の心の復興はないと考えています。 また、益城町を初めとする被災市町村復興まちづくりなどに確かな道筋をつけることが、私の3期目の任期中になすべき課題であると認識しています。 さらに、創造的復興が地方創生につながるとの考えから、熊本への人の流れの創出、若者の流出の抑制、結婚、出産、子育ての希望の実現など、人口減少問題にもしっかりと取り組んでいく必要があります。 このような認識のもと、さらに財源や人的資源を集中して加速化を図り、蒲島県政3期目の総仕上げに向け、私が先頭に立って、全力で挑戦してまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま蒲島知事からは、意欲あふれる答弁をいただきました。 蒲島知事、最後の年に向けてしっかりと頑張っていただくよう、我々議会も応援をしていきたいと思っております。 次に行かせていただきます。 次は、蒲島知事の1丁目1番地とされております熊本地震からの復旧、復興、被災者の生活再建について、まずお尋ねをしたいと思います。 地震からやがて2年半になろうとしていますが、現在もなお1万1,500世帯の被災者の方々が仮設住宅などでの生活を余儀なくされています。復旧、復興を果たすためには、何よりも被災者の方々の生活再建が最重要であります。 生活再建に向けての取り組みの中で、まず、仮設住宅に入居されている方々の健康不安の解消についてお尋ねをいたします。 この夏は歴史的な猛暑でありましたが、仮設でお暮らしの高齢者の方々にとっては、特に厳しいものがあり、健康の維持が非常に大変だったのではないかと考えます。 そうした中、今月初めに、仮設住宅入居者の方を対象とした、こころとからだの健康調査の結果が公表をされました。約1年前に同様の調査が実施をされており、そのときと比べると、心の状態も体の状態も、問題を抱える方の割合は少しずつ減ってはいるようです。 しかし、例えば、高度の心理的ストレスを抱える方の割合が平常時データの約2倍である、体調が余りよくない、あるいは悪いと答えられた方が2割以上いるといった状況も依然として見られております。仮設住宅での暮らしが長くなり、今までにないストレスがたまったりして、健康面に不安を抱え、困っている方も多いのではないかと心配であります。 そこで、1点目として、健康面で不安を抱えておられる仮設住宅入居者に対し、どのように対応していくつもりなのか、知事に伺います。 続けて、住まいの再建について、2点お尋ねをいたします。 仮設住宅については、ことし4月に当初の供与期間である2年を迎え、現在、延長措置により居住を継続いただいております。延長を必要とせず、自宅の再建を進めている方がおられる一方で、仮設住宅を退去したいと思っていても、自分の力だけではどうすることもできない場合もあると思います。 例えば、土地区画整理事業や大規模な宅地復旧や液状化防止対策などの公共事業を実施される場所に自宅の再建を考える場合は、まだまだ仮設住宅を退去できる状況ではありません。このような方々に対して、さらなる供与期間の延長が必要と考えます。 また、自宅再建に際しても、1つ大きな課題があります。災害により滅失した住宅の敷地については、原則として被災後2年間、住宅用地とみなして固定資産税等を軽減する特例措置がとられています。この特例措置は今年度までとなっておりますので、被災した自宅敷地での再建をお考えの方が、ことし12月までに住宅建設に着手できない場合は、来年度の固定資産税等の税額が増加することとなります。 御承知のとおり、まだまだ建設業者の確保などが厳しい状況が続いておりますので、このような現状を踏まえれば、この特例措置についても延長されるべきだと考えます。 そこで、2点目として、仮設住宅の供与期間の延長に関し、3点目として、被災住宅用地の特例措置の延長に関し、今後どのように対処していくつもりなのか、知事にお伺いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、健康面で不安を抱えておられる仮設住宅入居者への対応についてお答えします。 これまで、地域支え合いセンターによる訪問活動や健康調査等を通じて、仮設住宅入居者の健康状態の把握に努めてまいりました。その結果を踏まえ、個別支援計画を作成し、日常生活の支援を必要とされる方々に対して、それぞれの状況に応じた支援を行っております。 ことしの6月に実施した健康調査によると、改めて、心理的ストレスが高い方や高血圧、糖尿病など、健康リスクの高い方がいらっしゃることがわかりました。 このため、高リスクの方に対しては、こころのケアセンターや市町村の保健師等の専門職員が訪問し、必要な場合には医療機関への受診につなげるなどの対応を行ってまいります。 また、個別支援計画についても、今回の健康調査や住まいの再建状況を踏まえ、改めて見直しを行い、地域支え合いセンターとも連携しながら、継続的な見守りを実施してまいります。 今後とも、健康不安を初めさまざまな課題の解消に向けて、市町村を初め、保健、医療、福祉などの関係機関と連携し、お一人お一人の状況に応じたきめ細やかな支援に努めてまいります。 次に、仮設住宅の供与期間の延長及び被災住宅用地の特例措置の延長についてお答えします。 私は、仮設住宅の供与期間というのは、あくまで住まいの再建という目標に向けて準備するために必要な時間であると考えています。その思いから、これまでに、自宅再建のためのリバースモーゲージ型融資への助成など、4つの支援策をいち早く用意しました。 また、先月には、保証人が不在であっても民間賃貸住宅への入居を可能とする5つ目の支援策を創設するなど、被災者の方々の住まいの再建を全力で後押ししています。 これらの取り組みなどにより、仮設住宅入居者数は、ピーク時である平成29年5月の約4万8,000人から、ことし8月末には2万6,000人となり、半数近くの約2万2,000人の方々が再建を果たされております。 このような中にあっても、議員御指摘のとおり、公共事業や工期等の理由により、自宅再建になお時間を要する方や、災害公営住宅の完成、入居を待っておられる方などがおられます。 このようなやむを得ない事情により住まいの再建ができない方々については、供与期間のさらなる延長に向けて、現在、国と協議を進めております。 また、固定資産税等に係る被災住宅用地の特例措置についても、被災者負担を軽減するため、その適用期間の延長を国に要望してまいりました。この結果、8月末に、国土交通省及び内閣府から総務省に対し、同措置の延長を求める税制改正の要望がなされました。 引き続き、年末の税制改正大綱の取りまとめに向けて、県選出国会議員や県議会の皆様の御協力をいただきながら、その実現に向け、国に働きかけてまいります。 今後とも、国や関係市町村との連携のもと、お一人お一人の意向に沿った住まいの再建が実現し、被災者の皆様の心の復興が一日も早くなし遂げられるよう、全庁を挙げて取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま知事から御答弁をいただきましたが、1点目については、本当に現場として県の方々に取り組んでいただくことだと思います。しっかりとやっていただきたいと思います。 2点目、3点目については、いわゆる国の制度の問題でございますので、これまで同様、県議会とともに国に働きかけをしていくということで、国も大分理解はしていただいているようでございますので、今後とも知事と連携しながらやっていくことを我々もお約束をしていきたいというふうに思っております。知事の1丁目1番地であります被災者の自宅再建に向けて、しっかりと私たちも頑張っていきたいというふうに思っております。 次の質問に移らせていただきます。 グループ補助金の現状と今後の対応についてでございます。 グループ補助金は、被災した県内中小企業等の復旧、復興に対して重要な役割を担っているとともに、事業の再建、雇用の早期回復、加えて地域経済の復興の支えに大きな貢献をしています。 これまで5,000件近くに及ぶ交付申請、交付決定がなされ、実績報告書の提出や補助金の支払いの手続まで行き着いていない事業者も1,000件を超えていると聞いています。 そのような中、平成28年度の補正予算での交付決定を受け、平成30年度に事故繰越している事業者については、予算制度上、今年度末までに復旧工事を完了させることが必要です。 しかしながら、これらの事業者の中には、益城町の4車線化工事土地区画整理事業などのインフラ工事の進捗に合わせて自身の復旧工事を進めざるを得ない方、工事事業者不足などによって復旧工事がおくれている方など、やむを得ない事情によって今年度末までに復旧工事が完了しない事業者がおられるようです。 一方で、インフラ復旧の進捗に合わせて施設等の復旧を考えておられる益城町や南阿蘇村、西原村などの事業者の中には、今年度中に補助申請ができない事業者もおられると聞いております。また、これら被害が甚大であった地域の中には、そもそもグループにもいまだ加入されておらず、今後申請を考えられている事業者も少なからずおられるのではないかと思います。 このような事情を抱えている事業者の方は、今後、グループ補助金がどう取り扱われるのか、どうなっていくのか、不安な状況にあると思います。 そこで、今申し上げた事情を抱えている事業者における今後の支援措置継続に向けて、今後の国の予算措置の見込みを含めてどのように対応していくお考えなのか、現時点の交付申請状況など、あわせて商工観光労働部長にお伺いをいたします。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 今後のグループ補助金の執行に当たっては、議員御指摘のとおり、大きく2つの課題があると認識しております。 1点目は、平成30年度への事故繰越を行った事業者の方のうち、今年度末までに復旧工事が完了しない方々への対応です。 8月末までに事業完了し、実績報告を提出されている方は、交付決定件数の73%、3,513件に上っております。一方で、事故繰越を行い、今年度中に事業完了手続が必要となる方が、いまだ1,100件程度おられるという状況です。 今年度末までにという時間的制約がある中、これまで幾度となく各事業者の方の状況を聞き取ってまいりましたが、交通インフラの復旧のおくれや工事業者の不足などの理由によって、期限までに完了できないという相談が多く寄せられています。 このため、これらの方々に対し、事業所等へ出向き、具体的な状況を伺うとともに、工事業者とのマッチングを図るなど、できるだけ期限内に完了するよう支援を行っております。 しかし、このような手段を講じても、なおやむを得ない理由によって年度内完了が難しい方が数多く存在する状況にあります。 2点目は、特別な事情を抱え、いまだ申請ができない方々への対応です。 これまでの交付決定状況は、4,835件、補助金申請予定者の99%に上り、支援を必要とするほとんどの方に対応してきました。 しかしながら、交通インフラの復旧のおくれなどによって補助金申請ができない方はもちろんのこと、これからグループ加入を行い、申請しようとされる方も存在する可能性があります。 これら2つの課題については、これまで、国とも緊密に情報共有を図るとともに、5月の政府要望などを通じ、今後の予算措置を要望しております。また、東日本大震災時の措置と同様に、事故繰越の翌年度も事業継続できるよう、今後要望していくこととしております。 県議会や県選出国会議員の皆様の強力な御支援のもと、グループ補助金による経済の再生、復興は順調に進んでいます。今後も、困難な状況にある事業者の皆様が安心して復旧事業に取り組めるよう、しっかりと国と協議を重ね、最後まで万全を尽くしてまいります。(「頑張って下さいよ」と呼ぶ者あり)はい、わかりました。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま磯田商工観光労働部長から御答弁をいただきましたとおり、大分グループ補助金については進んできているということでございますが、最後の最後まで特別な事情を抱えている方には丁寧に対応をしていただくということと、国のほうとも関係をしますので、しっかりと情報共有をしながら、東日本大震災時と同様に手続がとれるように頑張っていただきたいというふうに思っております。私どもも、しっかりと国のほうとのつなぎはやっていきたいというふうに思っているところでございます。 続きまして、次の質問に移らせていただきます。 震災ミュージアムの今後の展開についてお尋ねをいたします。 ことしに入ってから、6月の大阪府北部の地震や7月の西日本豪雨、この9月には台風21号、そして最大震度7の北海道胆振東部地震と、大きな災害が全国各地を襲っております。そして、このような大規模災害は、今後も全国各地で起こり得るものです。 これらの災害によってお亡くなりになられた方々に心からお見舞いを申し上げますし、また、被災をされた方も大変でございます。お見舞いを申し上げたいと思っております。 熊本地震からの復旧、復興が進む中、私たちが忘れてならないのは、このような災害からの復旧、復興のため、さらには大規模災害に対する防災力強化のため、私たちが熊本地震から得た貴重な経験や教訓を全国に発信するとともに、長く後世に伝承していかなければならないということです。 熊本地震の経験や教訓を伝承するためには、県では、現在、震災ミュージアムの取り組みを進められています。県と市町村が連携して、県内各地の震災遺溝などを回廊式でつなぎ、熊本地震の情報等を発信していくもので、県は広域的な視点で熊本地震の教訓等の情報を発信する中核拠点を整備するとされております。 そこでまず、この中核拠点についてお尋ねをいたします。 県では、新たな整備予定の県防災センター内と東海大学阿蘇キャンパスの2カ所を中核拠点と位置づけており、このうち東海大阿蘇キャンパスに関しては、本定例会において、被災した1号館建物の保存設計に係る予算案が上程されております。 そのような震災遺溝を保存し、実際に見ていただくということは、もちろん大変重要なことです。ただ、熊本地震の経験や教訓をきちんと伝えるためには、中核拠点には、単に震災遺溝があるだけではなく、熊本地震を伝える写真や映像、地震を体験した方々の生の声、熊本地震の学術的な研究や地震の経験を踏まえた防災教育など、さまざまな機能が必要だと思います。 そこで、1点目は、2つの中核拠点について、具体的にどのような機能、役割を持たせようと考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。 次に、中核拠点を含め、震災ミュージアム全体の集客についてお尋ねいたします。 震災ミュージアムの目的は、熊本地震の教訓を人々に伝えていくことです。それには、より多くの方々に震災ミュージアムに足を運んでいただく必要があります。例えば、どのような立派な内容の展示であっても、来てもらえなければ、伝えたくても伝えることができないジレンマに陥ることが予想をされます。多くの人に来てもらってこそ、熊本地震の教訓を伝えていくという震災ミュージアム本来の使命を果たすことができます。 また、震災ミュージアムに人を呼び込めることができれば、震災から立ち上がろうとしている被災地の地域振興、観光振興につながり、復興を大いに後押しすることにもなると考えます。 このような観点から、私は、震災ミュージアムを熊本地震の情報発信施設としてだけでなく、県内外から多くの方々が訪れる、より魅力的な集客施設としてつくり上げていくことが大事だと考えております。この点について、県の考えをお尋ねいたします。 最後に、今申し上げた集客、被災地の復興に関連して、漫画「ONE PIECE」と震災ミュージアムの関係についてお尋ねをいたします。 漫画「ONE PIECE」の主人公ルフィ像の県庁プロムナードへの設置とルフィの仲間の像の設置について、知事は、さきの6月定例会で、「県庁に設置するルフィ像を起点に、被災した各地域に仲間たちの像を展開していくことができれば、被災地を大きく勇気づける」ことにつながるとして、ルフィだけではなく、その仲間たちの像についても、「被災した各地域に像を設置できるよう、尾田先生や集英社、被災市町村との具体的な協議を開始」すると述べられました。 また、先日の熊本日日新聞では、ルフィ像は年内に除幕できる見通しであること、ルフィの仲間の像に関して、県内各地で招致の動きが出ていることが紹介をされていました。日本全国で漫画キャラクター像が地域振興に寄与している実例もあり、復興への大きな後押しとして、県内被災市町村の期待も高まっているようです。 そこで、ルフィ及びその仲間の像について、集英社等との協議はどうなっているのか、また、震災ミュージアムとの関係はどう考えているのか。 以上、3点を知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 震災ミュージアムの今後の展開についてお答えします。 まず、2つの中核拠点の機能、役割についてです。 県が整備する中核拠点は、広域的な視点から、熊本地震の教訓等を確実に後世に伝承するとともに、国内外に向けて熊本地震の情報を効果的に発信することを目的としています。 この目的を踏まえ、2つの中核拠点には、それぞれの特性に応じた機能、役割を持たせたいと考えています。 まず、県防災センターは、災害発生時の司令塔であり、震災記録の集積の場となります。その特性を最大限に生かし、オペレーションルーム等の視察と座学とを組み合わせ、より実践的な形での防災学習や防災に携わる人材の育成につなげていきたいと考えています。 また、東海大学阿蘇キャンパスは、地表断層とその直上で被災した1号館建物を有し、熊本地震の巨大なエネルギーをありのままの姿で伝えることができます。ここでは、震災遺溝を間近に見ながら、語り部から震災体験と復興に向かう今の様子を聞くとともに、模型等により目に見える形で地震のメカニズムを学んでもらうことを考えています。 現在、こうした考え方のもと、関係者と協議しながら具体的な検討を行っています。2つの中核拠点が、機能、役割を分担しながら連携することで、将来にわたり、より効果的に熊本地震の記憶の伝承と教訓の発信を行ってまいります。 次に、震災ミュージアムの集客についてです。 熊本地震の教訓等を広く伝えるためにも、多くの方に震災ミュージアムに来ていただきたいと考えています。議員御指摘のとおり、より多くの方に来ていただくことで、復興の加速化につながるとともに、県全体への観光、経済面での波及効果も大きくなります。 このため、2つの中核拠点については、展示内容はもとより、交通アクセスや集客を図るための工夫など、魅力度の向上に向け、さまざまな視点から検討を行っています。 また、震災ミュージアムの回廊ルートの設定に当たっては、防災学習の観点だけでなく、市町村と連携し、地域の観光施設や物産館なども加えたいと考えています。地域をめぐる楽しみも感じられる、より魅力的なルートとなるよう、モニターツアーなどを通して多角的に検討を進めてまいります。 次に、ルフィとその仲間の像についてお答えします。 まず、尾田栄一郎先生や集英社との協議については、6月定例会終了後、直ちに開始いたしました。その結果、2つの進展がありました。 1点目は、県庁に設置するルフィ像についてです。 現在、急ピッチで制作を進めており、その除幕式を11月30日に開催することで合意が得られました。 ルフィ像の大きさは、等身大の174センチであり、県民の皆様にお披露目できることを、私自身、今から大変楽しみにしています。 2点目は、ルフィの仲間たちの像についてです。 被災地を勇気づけるため、ルフィの仲間たちの像を設置することについて、了解が得られました。今後、市町村と意見交換を行いながら、設置場所や時期などについて、集英社と協議を進め、早期の具体化に向けて取り組んでまいります。 ルフィとその仲間たちの像は、被災地を大きく勇気づけるものであります。回廊形式の震災ミュージアムと連携することで相乗効果を生み出し、さらなる集客力の向上など、地域の創造的復興につながるものと期待しています。 熊本地震の教訓を確実に後世に伝え、全国の防災・減災力の強化につなげていくことが、熊本地震を経験した私たちの責務であります。このことを胸に刻み、しっかりと取り組みを進めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま知事からは、震災ミュージアムの今後の展開について詳細に御答弁をいただきました。しっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思います。 また、ルフィ像につきましては、尾田栄一郎先生と集英社の皆さん方に心から感謝を申し上げなければいけないというふうに思っております。本当に、世界で初めてこうやって熊本にその像をつくることができるようになり、それが11月30日にまず除幕式を行うということができました。また、そのルフィの仲間たちも、各地域に配置できるということで御了解を得たようでございます。 今後とも、尾田先生や集英社の皆さん方と協議をしながら、また、市町村の皆さん方とともに、震災復興ミュージアムも含めて、しっかりと取り組みをしていただきたいということをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。 次に、人口減少社会における地域の課題解決についてお尋ねをいたします。 平成26年、増田寛也さんが座長を務める日本創成会議が発表した通称増田レポートでは、このまま地方から大都市への人口流出が続けば、多くの市町村が消滅しかねないことが警告をされ、全国的に人口減少問題への関心が高まりました。しかし、残念ながら、全国的に東京一極集中の傾向は継続しており、本県の人口も、自然減、社会減の状態が続いております。 ことしの6月議会においても、渕上議員より、人口の減少はひたひたと進んでおり、熊本地震からの復旧、復興をなし遂げた後に、改めて人口減少問題の深刻さに直面するのではとの危機感から、人口減少社会への対応に関する知事の考えについて質問がなされました。 この質問に対して、知事から、人口減少に歯どめをかけることは容易ではないが、「熊本には、危機を克服する十分なポテンシャル」があり、「過度に悲観的になることなく」「先頭に立って」「人口減少問題に果敢に取り組む」との力強い答弁をいただいたところであります。 本日は、人口減少社会における地域の問題解決ということで、個別テーマに絞って質問させていただきます。 まず、地域における医師確保と在宅医療の推進についてのお尋ねです。 人口が減り、少子高齢化も急速に進展する中で、地方のコミュニティー機能維持の困難さも増しております。特に、暮らしの安心の基本である医療や介護については、そのニーズがふえ続けるとともに、多様化しております。 一方、医療や介護の現場を支える人材や設備といった資源は縮小傾向が顕著であり、サービスを提供するシステムそのものを常に改革、改善していく必要に迫られております。 県民誰もが住みなれた場所で安心して暮らしていくためには、各地域において、身近に頼れる医療機関があること、自宅で療養生活を送る際のサポート体制があることなどが求められています。 地域における医師の確保と在宅医療の推進に、県としてどのように取り組んでいくのか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕 ◎健康福祉部長(古閑陽一君) まず、地域における医師確保についてですが、人口10万人当たりの医師数で比較しますと、熊本市以外のほとんどの地域で全国平均を下回るなど、本県の医師の確保は、大変厳しい状況にあります。 このため、県では、現在、地域の医療機関に対し、自治医科大学卒業医師の派遣や熊本大学医学部附属病院に設置しました寄附講座からの所属医師の派遣などを行っております。 また、今年度から、新たに僻地の公立医療機関の勤務医の確保に向けた市町村補助制度を創設し、地域における医師確保の取り組みを強化しております。 さらに、医師の働き方改革や女性医師の育休取得などを支援するため、県と協定を締結した医療機関から僻地等の医療機関に対して医師を派遣する、ドクタープール制度の創設に向けて、関係機関と協議を始めたところであります。 今後は、各地域において、安定的かつ継続的な医療提供体制を整備できるよう、地域の中核的な病院など各医療機関が相互に連携し、地域内の医療機関への医師派遣や人材育成などを行う新たなネットワークの構築についても検討を進めてまいります。 次に、在宅医療の推進についてですが、高齢化の進展等に伴う医療ニーズの増加に対応し、県民が在宅でも安心して医療を受けることができる体制の整備が求められております。 このため、来月から、新たに在宅医療を担う医師等の人材育成や、県民への在宅医療の普及啓発等を行う熊本県在宅医療サポートセンターを県医師会に開設します。 あわせて、各2次医療圏には、中核病院あるいは医師会による地域在宅医療サポートセンターを設置し、圏域内の医療機関の入退院や急変時の対応などを支援することとしております。来月にはまず10カ所の設置を予定しており、今後も順次拡大を図ってまいります。これにより、県の在宅医療体制は格段に向上するものと考えております。 また、在宅医療を進めていく上では、医療だけではなく、保健、介護等の関係団体と連携した取り組みが不可欠です。 このため、本年3月に、医療、保健、介護等の29の関係団体から成る熊本県在宅医療連合会を全国で初めて設立いたしました。この取り組みの中で、これまで以上に関係団体間の連携強化を図っていくとともに、先ほど述べました在宅医療サポートセンターの活動に対する協力、支援も行ってまいります。 今後も、県民が住みなれた地域で安心して暮らせるよう、関係団体と連携して在宅医療体制や仕組みづくりにしっかりと取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま健康福祉部長からの答弁のとおり、本県でも、新たな取り組み、また、全国的にも初めての取り組みとして、医師確保について、在宅医療の推進に向けて頑張っておられるというふうに思っております。 人口減少もステージがございまして、各地域ではそろそろ第2ステージ、いわゆる高齢者の増加がとまり、労働世代だけが減っていく第2世代、そして、もう10年もすると、高齢者も労働者世代も減っていく急激な人口減少、そういったところに入ってくると思います。そういうときに、やはり医療、介護をいかに地域で確保していくか、大変大きな課題だというふうに思っておりますので、ぜひそういった現状に合わせた取り組みを進めていただくように要望していきたいというふうに思っております。 続きまして、次の問題に移らせていただきます。 次に、このたび御所浦架橋事業の休止判断に至った経緯と今後の地域振興についてお尋ねいたします。 これは、まさに人口減少社会の非情な一場面を示したことではないかというふうに思っております。2000年に国での事業採択をされたときの御所浦の皆様方の喜びを考えますと、大変無念であることは、皆様も同じではないかというふうに思っております。 この7月、県公共事業再評価監視委員会において、天草市御所浦町と上天草市を結ぶ御所浦架橋計画を休止するという対応方針が明らかになりました。 県内でも、過疎や若者の流出により、コミュニティーの維持に不安を抱える地域は少なくありませんが、県内でも数少ない離島である御所浦地域では、離島であるがゆえの負担や不便を数多く抱えています。 こうした地域の状況を背景に、住民の方々は、長い間橋がかかることを待ち望んでおられたのであり、今回の休止判断により、県に見放されたのではないかと大きく落胆し、不満と戸惑いの声が上がっています。 県では、平成27年度以降、定期航路の運賃割引などの御所浦における地域振興策に取り組まれています。仮に架橋事業を休止する方針であれば、地域課題を解決するために、さらなる取り組みを検討する必要があると考えます。 現在、再評価委員会の議論では、費用対効果等は厳しい状況となっていますが、離島解消に向けて、島民の悲願であるこの架橋を実現してほしいという思いは強いものがございます。 今回、休止方針を示すに至った経緯と今後の地域振興について、知事の思いをお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 御所浦架橋事業については、平成26年度の再評価において、委員会から、財源確保や費用対効果に関しては懸念があり、総合的な精査が必要であることなどの理由から、休止が妥当との意見をいただきました。 これを受けて、私は、地元への説明責任を果たす必要があると考え、まずは架橋事業について真に精査を行うべきとの結論に至りました。そして、費用、効果、予算について、架橋事業の実現ができないか、あらゆる可能性を排除することなく検証を進めてまいりました。 今年度、検証作業が完了し、その結果、現時点ではコスト縮減を行ったとしても、費用を上回る効果が見込めないことや財源確保が厳しいことなどから、県としては、一旦休止するという方向で、現在、再評価委員会で審議をいただいているところであります。私にとっても苦渋の選択であり、島民の皆様には申しわけない思いでいっぱいであります。 御所浦地域の振興策については、人口減少や少子高齢化が進む中で、架橋事業が長期化していることを踏まえ、離島というハンディキャップを克服できるよう、平成27年度から取り組みを進めてまいりました。 具体的には、定期航路の増便や船賃の軽減のほか、高校生の通学利用、乳幼児健診、障害者等の福祉的利用に係る船賃の無料化、さらには常勤医師の配置など、住民の皆様の利便性の向上を図ってきました。また、宿泊型のマラソン大会など、交流人口の拡大にも取り組んできました。 これらの取り組みについては、地元から一定の評価をいただいており、また、島民の皆様の生活にも根づきつつあります。しかし、依然として御所浦地域では、島外への移動、緊急時の医療体制、子育てや教育、観光、経済などの面において、ハンディキャップがあると認識しています。 このため、御所浦地域振興策については、今後も継続してまいります。さらに、地元天草市や住民の皆様の御意見をしっかり伺った上で、より充実した振興策となるよう、具体的な検討を進めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま知事からは、御所浦架橋についての御答弁をいただきました。 再評価委員会は休止を勧告しましたが、休止としたことで、決して最後まで諦めないということも、私は、言葉には出してなかったけれども、答弁の中にはあったのではないかというふうに思っております。特に、今後、架橋等の技術革新が進んでコストが大幅に削減されるのであれば、そういったことも考えていってもらえるのではないかというふうに、一縷の望みをつなぎたいというふうに考えているところでございます。 ただ、長期化をすることによる離島のハンディキャップを埋めるための施策は充実をさせていくということでございましたので、今後とも天草市と連携をしながら、ぜひ頑張っていただきたいということを私からも強くお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。 労働力不足問題への対応について、2つの観点からお尋ねをいたします。 県内の人材不足対策としては、県は、これまで、若者の県内定着やUIJターン就職の促進、女性や高齢者の就労支援等に取り組んでこられております。 県内の有効求人倍率は、23カ月連続で九州1位を記録、県内の人手不足はさらに深刻さを増しているという状況でございます。IoTなどの先進技術を活用した生産性の向上や外国人材の受け入れが喫緊の課題ではないかと考えております。 そこでまず、県内企業のIoT導入に対する県の取り組みについてお尋ねいたします。 AIやIoT、ビッグデータに関する記事は、ほぼ大企業の話であったようでございますが、中小企業の現場において、IoTの導入例が散見されるようになってまいりました。ただ、導入は、まだ一部の企業にとどまっており、まさにこれからといった状況です。こうした状況を打破すべく、執行部には一層の支援に取り組んでいただきたいと思います。 人手不足の慢性化が危惧される中、企業の生産性を維持向上させていくためには、前向きな設備投資による省力化や付加価値額の増加が求められ、IoTなどの先端技術の導入の検討が必要な時期に来ていると思うからであります。 また、このようなIoTは、製造業を初め農林水産業やサービス業など、さまざまな分野での活用の可能性があります。目的意識と投資効果を含めた経営者の判断次第では、IoTは大きな可能性を秘めております。 県内企業のIoT導入を促進すべく、県としてどのような取り組みを行っておられるのか、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。 続けて、外国人材の受け入れについて質問します。 6月に閣議決定をされた骨太方針2018において、政府は、就労を目的とする新たな在留資格を創設する方針を打ち出されました。専門的・技術的分野に限って外国人材を受け入れるというこれまでの国の方針からすれば、大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう。 一方、人材を送り出す国からは、注文が多いのも実情です。これは、2月の代表質問で吉永議員が指摘されたことでもございます。 平成29年度の外国人居住者の対前年比増加率は、熊本は全国トップの16.64%で、技能実習生は、1年で1,000人以上ふえているということであります。働き手を確保するために、受け入れ拡大に向けての動きは、今後ますます加速化するものと思われます。 県としては、外国人材の受け入れの地域間競争におくれをとらないよう、受け入れに対する支援や環境整備をしていかなければならないと考えます。 外国人材の受け入れについて、知事の決意と今後の方針をお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 議員御指摘のとおり、人手不足が深刻化する中、生産性の向上が強く求められており、その解決策の一つとして、IoTの導入が県内の中小企業にとっても重要になっています。 しかし、現状では、導入は一部の企業にとどまっており、その理由として、多くの企業がIoT導入の必要性は感じているものの、入り口の段階で、IoTは技術的に難しいと漠然と感じているからではないかと考えています。 そこで、県では、今年度、IoTを導入したいモデル企業を募り、この企業に対して、県産業技術センターと県内のIT企業が連携して、導入に向けた支援を行うこととしています。その試行錯誤の過程をオープン化し、より多くの企業に自社でもできることを実感してもらい、次なる導入を促していくこととしています。 また、県内の中小企業のIoT技術者を養成するスクール「ひのくにIoT」を昨年度開講しました。今年度から、ここで学んだ修了生を講師として、要望のあった企業に派遣することとしています。 さらに、IoTを活用することにより、農業やサービス業などの分野でも、生産性の向上が期待できます。本県では、こうした分野で高い付加価値を生む設備投資に対しても、地域未来投資促進補助金による支援を行っており、その多くでIoTの活用が鍵となっています。 IoTなど先端技術の導入は、省力化や無人化により捻出した労働力を商品開発などの付加価値の高い仕事にシフトさせることで、やりがいを感じる仕事をふやしていくことが可能です。 県としては、IoT導入効果を丁寧に説明しながら、引き続き、県内企業のIoT活用支援にしっかりと取り組んでまいります。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕
    ◎知事(蒲島郁夫君) 21歳のときに農業研修生として渡米し、苛酷な労働環境のもとで働いていた私が、アメリカで勉強の楽しさに目覚め、学び、現在に至っているのは、外国人の私を受け入れてくれたことと学ぶ機会を与えられたからであります。 外国人を異質なものとして排除するのではなく、当たり前に受け入れ、誰にでも学ぶ機会が与えられ、ともに幸せを目指す社会をつくっていきたいと、私は常々考えています。多様性を受け入れる社会が、熊本に活気を生み出し、これからの熊本の発展につながると信じています。 こうした私自身の経験や考えから申し上げれば、外国人材の受け入れにおいて重要なことは、雇い手と働き手の双方がウイン・ウインの関係であることです。 そのためには、外国人を労働力不足を補う安価な労働者とする発想であってはならず、パートナーとして受け入れ、スキルアップを支援する環境を整えていくことが重要だと考えています。 こうした理念から、本県で申請している農業分野における国家戦略特区では、幅広い分野で活躍できる高度な外国人材の育成と生活支援体制を整備し、将来的には熊本の農業者と共同経営できることを目指しています。 一方で、議員御指摘のとおり、農業に限らず、さまざまな産業分野で人材不足が深刻化していることを踏まえて、国において、就労を目的とした新たな在留資格の創設が検討されています。今後、外国人材の受け入れは全国規模で増加することが見込まれ、ひいては外国人材をめぐる地域間競争も懸念されているところです。 本県では、熊本型農業特区申請に加え、生産者やJAなどに対し要望に関する調査を行うなど、受け入れの準備を進めています。また、企業等を対象とした相談窓口の設置など、他県に先んじた取り組みも実施しています。今後、取り組みのさらなる充実を図り、外国人材の受け入れに向けて積極的に取り組んでまいります。 そのほか、日本語教育の充実や生活情報の多言語化など、外国人との共生社会の実現に向けた取り組み、さらには事業者や住民の意識の醸成など、経済界や市町村とも連携して推進してまいります。 これらのことを通じて、ウイン・ウインの関係構築につながり、活力を支える外国人材から選ばれる熊本となれるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) IoTについては商工観光労働部長から、また、外国人材に対しては知事のほうから御答弁をいただきました。 本当、これから大切なところでございます。特に、人が働く場所がないと人口減少というのはとまりませんので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。 また、外国人材については、まさに知事がそういった体験をもとに、この熊本の人材受け入れをやることができるのではないかというふうに思っていますので、ぜひウイン・ウインの体制ができるように、国は方針を決めただけで、まだ法律的にはこれからだと思いますが、それに先駆けて、熊本として歩みを進めていただきたいということをお願いしたいと思います。 続きまして、交流人口の拡大における熊本スポーツ大会の成功に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。 ちょうど1年後の9月20日は、ラグビーワールドカップ2019の開幕日となります。女子ハンドボール世界選手権大会までは420日余り、いよいよ国際スポーツ大会の開催が迫ってまいりました。 ラグビーワールドカップのチケットは、昨日から全世界同時に一般抽選販売が開始されており、来年の女子ハンドボール世界選手権大会のチケットも、この11月から販売が開始されると聞いております。また、ことし12月に、本大会のアジア予選を兼ねて本県で開催される女子ハンドボールアジア選手権のチケットも、この10月には販売が開始されるということであります。 県では、2つの国際大会の観戦者数について、ラグビーワールドカップでは、熊本開催の2試合が満員となる6万人、女子ハンドボール世界選手権大会では、97年の男子大会を超える30万人という目標を立てられています。 この観戦者数の目標達成に向けた取り組みが国際スポーツ大会成功の鍵であり、ひいてはそれが交流人口の拡大、経済効果の波及につながると思います。 大会を盛り上げるために、これまでの行政や競技団体の取り組みに加え、経済団体、学校などと連携することが重要だと認識をしています。県議会も、引き続き、執行部と一体となって取り組んでいきたいと考えております。 あわせて、メディアでの露出がふえれば、大会の認知向上や集客にプラスになると考えます。今後は、チーム強化の過程などが事前にマスコミで取り上げられることも、本大会の盛り上がりにつながるのではないでしょうか。 大会の成功の鍵となる観戦者数の目標達成に向けて、開催まで残り1年、どのように取り組まれるのか、知事にお尋ねをいたします。 続けて、大会の警備についてお伺いをいたします。 大会成功の第1条件は、運営を円滑に行うこと、これが大前提であります。そのためには、事故やトラブルを防ぎ、アスリート、観戦者の方々はもちろん、全ての関係者の安全を確保することが何よりも大事であると考えます。 国際的に大きな注目を浴び、多くの観戦者が訪れる大会ということで、テロの標的となることもおそれとしてあります。 昨年の女子ハンドボール世界選手権の開催国はドイツでした。次期開催地である日本、そして熊本から、組織委員会事務局、県ハンドボール協会、県、八代、山鹿両市の関係者とともに、県議会からも視察を行い、私も参加いたしました。 そのときに撮影した街の様子です。画面をごらんください。(資料を示す) これは、試合が開催されたハンブルク市ですが、12月中旬ということで、クリスマスを迎える雰囲気の中、飾りのように風景に溶け込んでいる赤と白のブロックは、実は車どめです。(資料を示す)近くで見るとこういうものであり、大型車が店や歩道に突っ込んでくるような事例を防ぐ仕掛けです。 続くハンブルク市の試合会場の様子をごらんください。(資料を示す) たくさんの観戦者が入場しようとしていますが、このように空港にあるような金属探知機での検査が行われていました。これらが実際に昨年のドイツ大会で行われていた警備の一部です。このように、丸で囲まれたようになっております。 ヨーロッパと日本では、政治情勢や犯罪、防犯に関する事情も違いますが、ソフトターゲットと呼ばれる不特定多数が集まる大規模集客施設などがテロの標的となる懸念がある中、来年本県で行われる2つの世界大会においても、入念な対策が必要だと思います。 大会の安全、安心な開催に向けた県警察の取り組みについて、警察本部長にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) いよいよ2つのビッグイベントの開催が1年後に迫ってまいりました。県では、大会の成功に向けて、円滑な大会運営、観戦者数目標の達成、大会の成果をレガシーとして残す、この3つの柱を掲げ、その取り組みを加速化しています。 特に、経済波及効果に大きな影響を及ぼす観戦者数の目標の達成は、大変重要であると考えています。しかし、いまだ厳しい状況にあります。このため、全庁的な取り組みに加え、市町村や経済団体などとのさらなる連携強化を行い、観戦者数の目標達成に尽力してまいります。 まず、ラグビーについては、開催1年前のタイミングで、熊本市中心部や近郊において、県民参加のイベントや広報、PRを約1カ月半にわたって集中的に展開します。また、インターネットによるチケット購入の手続が難しいという声を受け、一般抽選販売開始に合わせて、上通のアーケードにID登録を行うためのサポートセンターを設置しました。 次に、ハンドボールについては、来年の世界大会への3つの出場枠をかけて10カ国が競い合う、アジア選手権大会を11月末から開催します。さらに、来年の大会に向けて、著名人サポーターの任命や町なかの装飾、1つの学校で1つの国を応援する一校一国運動など、県民や子供たちを巻き込んださまざまな仕掛けを行うことで、観戦機運の醸成を図ってまいります。 次に、県外へ向けた広報・PR活動については、くまモンを最大限に活用し、九州各県の自治体、都市圏のメディア、全国各地の競技団体や学校への訪問など、プロモーション活動を強化しています。 特に、96試合全てを熊本県で開催するハンドボールについては、全国のハンドボール協会など、コアなファンから応援の輪が広がるような仕掛けに取り組んでいます。また、年内には、全国的な応援組織を東京で設立する準備を進めています。 インバウンドについては、九州でラグビーワールドカップを開催する福岡県、大分県などと合同でPR活動を実施しています。さらに、ハンドボールが盛んなヨーロッパやアジアの強豪国である韓国などの旅行会社へのセールスにも取り組んでおります。 大会まで残り1年間、県議会を初め競技団体や経済団体の皆様と手を携え、オール熊本でしっかりと取り組んでまいります。  〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌君) 国際スポーツ大会の警備等についてお答えします。 議員御指摘のとおり、世界的に注目される国際スポーツ大会は、テロの標的となりやすく、大会の成功に向けて、安全、安心の確保が重要であります。 特に、近年、世界各地で相次いでいる車両等身近な物を使用したテロへの備えが必要となっています。 このため、県警察では、本年7月に設立したテロ対策パートナーシップ推進会議くまもとを主体に、情報共有や啓発活動によるテロの未然防止、車両突入を想定した官民連携型のテロ対処訓練等を推進しているところです。 また、本年9月1日付で、県警察全部門が一体となった熊本県警察国際スポーツ大会警備対策室を設置し、テロ防止のための装備資機材の充実を図るなどのテロ対策を推進するとともに、適切な交通規制や雑踏事故防止、繁華街対策等に総合的に取り組んでいるところです。 今後、県民の御理解と御協力を得ながら、これらの取り組みを加速させ、大会の成功に向けた警察措置の万全を期してまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) 国際スポーツ大会は、本当あと1年後になってまいりました。さまざまな取り組みを進められておりますが、ぜひ成功できるようにやっていただきたいと思います。 もう皆様方も記憶にあるかと思いますが、ことしのサッカーのワールドカップ大会、日本が勝つことによって、日本は大いに沸き上がりました。また、ことしの夏の高校野球は、金足農業が決勝まで行ったことによって、秋田県では、今までなかったように県民が一つになったというような話もございます。 やはり自国のナショナルチームが活躍をすること、それがメディアの評価を受けて大きく報道されることで、県民の関心は上がってくるかというふうに思っております。おりひめJAPANが活躍できるように、しっかりとサポートしていくことも大事だというふうに思います。 また、安全は大切でございます。県警でも、もう先取ってさまざまな取り組みをやっていただいておりますが、今後必要なことは、この大会を契機にしっかりと見直しをしながら、安全な大会を運営していくように、ぜひバックアップをしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 続きまして、次の質問に入らせていただきます。 このたび、天草・﨑津集落を含む長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の世界文化遺産登録が決定をいたしました。登録を目指して動きが始まって以来、10年以上の紆余曲折を経て臨んだ結果、ユニークで傑出した歴史を語る価値のある世界遺産であるとの高い評価を世界で得ての登録となりました。 﨑津集落を訪れる観光客数を世界文化遺産登録の前後で比べてみますと、ことし5月から8月の4カ月で前年の2倍近く、前々年比では3倍近くと大幅に増加し、さらに、長崎、天草にある12の構成資産の中で、大浦天主堂に次ぐ2番目に多い来場者数となっており、地域の観光振興に大きな効果をもたらしております。 観光客を受け入れる環境の整備や地元の生活環境保全との両立など、これから取り組むことはさまざまありますが、この世界遺産を大事に守りつつ、観光資源として活用していくには、登録による効果を一過性のものに終わらせない仕掛けが必要であります。 この世界遺産を共有する長崎県との連携はもちろんでありますが、世界文化遺産に登録をされております荒尾市の万田坑と宇城市の三角西港、そして人吉・球磨地域及び菊池川流域の日本遺産、また、熊本のシンボルである阿蘇や熊本城など、多くの魅力的な観光資源と連携して、面として展開を考えていくべきだと思います。また、新たな地域のそういったものがあれば、そういったところとの連携も必要であるのではないかと思っております。 国際スポーツ大会や来年の熊本デスティネーションキャンペーンなど、今後予定されているビッグイベントに向け、これらの観光資源の魅力を最大限に発揮するためにどのように取り組むのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 世界文化遺産については、人類共通の宝として次の世代へ引き継いでいくとともに、本県の活性化につながるよう、関係自治体との連携のもと、資産の保全と活用、情報発信に取り組んでいます。 﨑津への観光客数は大幅に増加しており、これを継続、拡大させるためには、同じ構成資産を有する長崎県や県内の観光地と連携し、﨑津集落の認知度をさらに高めていくことが重要です。 そのため、歴史や文化に関心が高い層やキリスト教、特にカトリックの方々に重点化し、さらに個人旅行者の増加も踏まえた、世界遺産のブランド力を生かしたPRを行ってまいります。 また、世界文化遺産登録の集客効果をオール九州で生かすために、それぞれの観光資源をルート化するとともに、これをネットワーク化することで、その魅力を高めていきます。 具体的には、現在、長崎、大分県と連携して、世界文化遺産を含むストーリー性のある広域観光ルートをつくり、旅行商品の造成支援や情報発信を行っています。 これに加え、来年夏の熊本デスティネーションキャンペーンに向けて、旅行会社や交通事業者に対して、熊本を起点とした九州周遊コースや、熊本城、阿蘇などの観光資源をパッケージにした魅力的な旅行商品の造成を働きかけています。 次に、海外からの誘客については、国際スポーツ大会の開催に伴い、キリスト教文化が根づいている欧米等からの来熊が期待されることから、潜伏キリシタン関連遺産について、積極的な情報発信を行ってまいります。 また、アジアで最大のカトリック国であり、近年、訪日者数も増加傾向にあるフィリピンに関しては、九州観光推進機構と連携し、8月に、旅行会社の招請や県内観光事業者との商談会を実施しました。さらに、9月には、日本政府観光局マニラ準備室長をお招きし、天草地域の観光関係者との情報交換も行いました。 これらの取り組みを通じて、来年のビッグイヤーに向けて、﨑津集落を初めとした多様な観光素材のポテンシャルを最大限に引き出すとともに、将来の誘客の礎を築いてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま商工観光労働部長からは、さまざまな取り組みについて御答弁をいただきました。 やはりこれからは、FITへのアプローチをどうしていくか、非常に重要だというふうに思っております。ぜひその辺も踏まえて、しっかりと観光振興につなげていけるように、連携して頑張っていっていただければというふうに思っております。 続きまして、交流人口の拡大の中の八代港の活用促進についてお尋ねをいたします。 国内外からの人の流れを呼び込むには、交通インフラの整備、中でも海と空の玄関口の拠点機能強化が欠かせません。本県においても、創造的復興に向けての大きな推進力となる、世界とつながる熊本づくりを実現するため、大空港構想Next Stageの実行と八代港の拠点整備に取り組んでいます。 まず、海の玄関口である八代港についてでありますが、国の国際クルーズ拠点の指定を受け、機能強化を図っているところであります。 クルーズ船の受け入れを促進するため、国やロイヤル・カリビアン・クルーズ社との連携のもと、専用岸壁や旅客ターミナル、大型バス駐車場など、さまざまなハード整備が進んでおります。 平成32年度には、これらの整備がおおむね完了し、世界最大級の22万トンクラスの船とその乗客を迎えることが可能となります。こうした動きを弾みに、クルーズ船により寄港する観光客の方々に、いかに熊本の魅力をアピールし、県内各地への周遊につなげていくかというテーマに、さらに取り組んでいかなければならないと思います。 現在、くまもとDMC、DMOやつしろ、株式会社シークルーズが事業主体となって、国、県、地元自治体との連携のもと、八代と天草・松島間の観光航路の実証実験を行っています。八代から天草まで、陸路であれば1時間半ほどかかるところが、約30分に短縮されます。航路による周遊ルートの開発により、クルーズ船で訪れた観光客の方々が、滞在時間を有効に使っていただく可能性が広がるものと期待できます。 実証実験では、クルーズが寄港する八代外港から内港に移動しなければなりません。(資料を示す)今八代港の航空写真をごらんいただいておりますが、クルーズ船は、現在、この赤の実線のところに寄港していますが、クルーズ船専用岸壁の整備後は、点線の箇所に泊まることになります。そして、実証実験での観光船は、今、内港のこの黄色い星印のあたりから出ています。 大型クルーズが寄港する外港から直接観光船を出すことができれば、さらに時間や手間が縮小され、観光客の方々の利便性が高まると考えます。そうした環境整備について、いかにお考えになるのか、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) 現在、県では、八代港において、国及びロイヤル・カリビアン社と連携し、2020年4月の供用開始に向け、魅力ある国際クルーズ拠点整備に取り組んでおります。 去る9月4日には、知事みずから、米国・マイアミのロイヤル・カリビアン本社を訪問し、マイケル・ベイリー社長を初めとする同社幹部に本県の取り組みを説明してまいりました。これに対して、高い評価を受けるとともに、クルーズ拠点の整備を加速化することで意見が一致したところでございます。 議員御指摘のとおり、クルーズ船客に熊本の魅力をアピールし、県内各地への周遊につなげることは、とても重要であると認識しています。 滞在時間が限られるクルーズ船客にとっては、陸路による天草地域への移動時間は、周遊観光を促進する上で課題となっております。 天草にはさまざまな観光資源があり、中でもイルカウオッチングは、ロイヤル・カリビアン社の評価も高く、天草観光の目玉の一つとなり得るものです。 そこで、現在、くまもとDMCなどを事業主体として、天草の海を活用した観光ツアー商品の造成を見据えた航路実証を行っております。 八代と天草を高速旅客船等により短距離かつ短時間で結ぶ海上ルートの活用は、観光の利便性向上につながるものです。 しかし、一方で、現在、利用客は、クルーズ船から約3キロメーター離れた内港の浮き桟橋まで、バス等での移動を強いられる状況となっております。 このため、利用客の利便性向上を目指し、クルーズ船専用岸壁に近接する箇所への高速旅客船用の浮き桟橋の整備に向けた検討を行っているところです。 今後、このような取り組みを通じて、八代港からの海上ルートを活用したツアー商品造成の実現を目指すなど、外国人観光客の周遊の可能性を広げる環境整備に努めてまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) 土木部長のほうからは、八代港の整備について、桟橋等についても検討してまいるということの御答弁をいただきました。 ぜひ、課題はあるかと思いますが、相手であるロイヤル・カリビアン社がイルカウオッチングにも大変興味を示されているということでございます。そのほか、やはり船での航行ができれば非常に有効な活用ができるというふうに思っておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。 続きまして、空の玄関口である阿蘇くまもと空港へのアクセス改善についてお尋ねをいたします。 阿蘇くまもと空港では、現在、大空港構想Next Stageの目玉であるコンセッション方式の導入に向けて、運営権者選定のためのプロセスが進行中です。今後、新たな運営権者により、国内線・国際線ターミナルビルの一体的整備が進むことで、航空ネットワークの拡大とともに、利用者の増加が見込まれ、交流人口の拡大、地域の活性化に阿蘇くまもと空港創造的復興のシンボルとして、大いに力を発揮することが期待をされております。 しかしながら、その空港の拠点性発揮には、皆様御存じのとおり、アクセスが課題であることは、これまでも議会で取り上げられてきたところであります。 朝夕のラッシュ時はもとより、グランメッセでイベントが行われる際など、第二空港線の渋滞に遭い、ぎりぎり間に合った、飛行機に乗りおくれるかと思い、次の便に変更したという声をよく聞きます。また、空港におりたが、リムジンバスがいっぱいで次のバスを待たされたなど、乗客の積み残しの話もよく聞きます。まさに、定時性と速達性や大量輸送等、空港としての機能を果たす上で前提となる課題を抱えているのが現状です。 空港アクセスについては、過去に鉄軌道などのさまざまな施策検討が行われましたが、解決策は実現できておりません。空港が大きく変わろうとする中で、この課題は避けては通れないものだと思います。 蒲島知事は、昨年11月議会で、松田議員の質問に対し、空港と周辺地域のポテンシャルを最大化するため、50年、100年後を見据えた抜本的な空港アクセスの検討を行うことを表明されました。 現在、県を挙げて熊本地震からの復旧、復興に全力で取り組む中で、財政、マンパワー等の面でも、なかなか先行きが楽観視できない状況にあることも事実であります。 そこで、このようなタイミングで抜本的な空港アクセスの改善に取り組むこととされた蒲島知事の決意について、改めてお尋ねをいたします。 また、昨年の検討表明以来、県では調査検討を進めておられると思いますが、現在の検討状況及び見通しについて、企画振興部長にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、知事就任当初から、地域における空港が果たす重要な役割に着目し、阿蘇くまもと空港と周辺地域を一体のものとして捉え、活性化を目指す大空港構想を推進してきました。 そのような中、熊本地震が発生し、空港が交通インフラとして、また、地域の防災拠点として非常に重要であることを、改めて強く認識いたしました。 そのため、県では、阿蘇くまもと空港創造的復興のシンボルとする大空港構想Next Stageを策定し、コンセッション方式の導入による空港活性化を目指すこととしました。同時に、空港のポテンシャルを最大化するため、長年の懸案である空港アクセスの改善についても明記しました。 議員御指摘のとおり、現在、阿蘇くまもと空港へのアクセスは、リムジンバスを含め、自動車しか手段がなく、朝夕のラッシュ時には渋滞が発生し、想定時間内に空港に到着できない事態が多く発生しています。 このような状況に対して、経済界を初め県民の皆様から、空港アクセスを改善すべきとの意見が多く寄せられています。 また、コンセッション方式を導入した同規模の仙台空港の事例では、5年後に410万人、30年後に550万人の空港利用者を目指す計画となっています。阿蘇くまもと空港も同様の動きになれば、自動車のみに頼る現在のアクセスでは対応が不可能であり、新たな交通システムの導入が欠かせないと考えます。 この10年、空港を取り巻く環境は大きく変化しました。インバウンドの急増、地方空港が海外からのゲートウエーとして期待され、各県が地方創生の切り札として交流人口拡大を目指す中で、空港間の競争も激化しています。 そして、熊本は、空港だけでなく、八代港、熊本駅、中心市街地のバスターミナルというゲートウエーが生まれ変わろうとしています。空港アクセスの改善は、県民の利便性を高めることはもちろん、そうした拠点をつなぎ、大きな相乗効果を生み出すものと考えます。 さらに、空港のコンセッション導入とアクセス改善による創造的復興は、熊本の発展にとどまらず、九州の中央に位置する地理的優位性を最大限に発揮し、九州を支える、そして九州の成長エンジンにもなり得るものと思っています。 私は、今後の50年、100年を見据え、この課題を解決するタイミングは今しかないと考えており、時間的緊迫性を持って取り組んでまいります。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) 本年度実施している空港アクセス改善の調査について、現在の検討状況と見通しをお答え申し上げます。 今回は、県民の利便性向上はもとより、急増するインバウンドや渋滞への対応、そしてコンセッション方式の導入効果の最大化のために、早期に実現できるものは何かという観点から検討しております。 また、マイカーから公共交通への転換も主眼の一つであることから、道路整備とは別の手法、つまり熊本市中心部と阿蘇くまもと空港を結ぶ新たな交通システムの導入可能性について検討しております。 検討した交通システムは、鉄道、モノレール、市電の3つでございます。具体的には、鉄道は、豊肥本線の延伸、モノレールは、空港と熊本駅を結ぶ路線の新設、市電は、健軍電停から空港への延伸です。 これらについて、定時性、速達性、大量輸送性に係る検討のほか、事業費について試算を行いました。 まず、定時性については、いずれも確保できます。 次に、速達性については、鉄道とモノレールは、現状のリムジンバスと比べ時間短縮効果が見込まれますが、市電は、リムジンバスよりも時間を要する結果となり、速達性は劣ります。 また、大量輸送性については、鉄道とモノレールは十分な輸送力が認められますが、市電は、他と比較して、車両が小さく乗車人数が限られることから、大量輸送性が劣る結果となりました。 最後に、事業費についてですが、新たに整備する区間の距離や構造等により幅がありますが、鉄道は300から400億円、モノレールは2,000から3,000億円、市電は200から300億円という試算となりました。特に、モノレールは、全ての施設、車両基地等を新設する必要があり、多額になることが見込まれます。 今後、ルートの詳細とともに、事業スキームや財源の確保などについて検討を進め、対応方針を固めてまいりたいと考えています。50年、100年後を見据えた抜本的な空港アクセスの改善に向け、全力で取り組んでまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) ただいま答弁で知事からは、不退転の決意というか、そういった雰囲気が出るような御答弁をいただきましたし、また、執行部でも、数字を上げての検討状況を報告していただきました。 本当、50年後、100年後を見据えた上で、これは決断をすることが必要です。で、これは、将来の歴史が評価をしてくれることになるというふうに思います。知事には、そういった歴史の場にあって、的確な決断をしていただくことをお願いし、また、我々も、それをサポートすることをお約束したいというふうに思います。 続きまして、教育の充実について質問をさせていただきます。 今取り組むべき課題の一つである新学習指導要領を見据えた英語教育の取り組みについてお尋ねいたします。 小中高等学校の教育課程の編成基準である学習指導要領が10年ぶりに全面改訂され、平成32年から順次実施されることになっております。 この新しい学習指導要領によると、グローバル化や情報化といった社会的変化が人間の予測を超えて進展するとされ、社会や生活のさまざまな変化に対し、子供たちが前向きに向き合いながら、可能性を発揮して活躍するために必要な学習の基盤となる資質能力の一つとして、言語能力が挙げられています。 そして、英語教育については、小学校3、4年で外国語活動が導入されることに伴い、小中高を通じて10年間英語を学ぶことになり、早期化と高度化が図られることとなります。 この10年の学習の中で、小中高が連携を図り、それぞれの教育活動がスムーズに移行されるように配慮し、子供たちの学習意欲を向上させる手だてを考える必要があると考えます。 また、小中高10年間の教育活動により、学校教育の集大成の一つである大学入試に適切に対応できるようにしなければなりません。 平成32年度から実施される大学入学共通テストでは、民間の検定試験を活用して、聞く、読む、話す、書くの4つの技能の測定が行われることとなります。 新学習指導要領のもとでの小中高10年間の英語教育や新しい大学入試制度に対して、どのような取り組みを進めていくおつもりなのか、教育長にお尋ねをいたします。 続けて、学校施設における空調設備の整備について質問いたします。 ことしの夏は、全国的にも厳しい暑さが続き、愛知県豊田市では、7月に、校外学習から教室に戻った小学生が熱中症で死亡するという痛ましい事故も発生しました。かつては子供に暑さに耐えさせることも必要だという考えもあったかもしれませんが、近年の暑さはそれを超えたものだというふうに思われます。 全国的に空調設置が進む中、本県においても、喫緊の課題として、特に学校生活の中心となる普通教室について、来年の夏に間に合うように整備を進める必要があるのではないでしょうか。 また、厳しい財政状況にある市町村が、小中学校などの空調設置を進めるためには、国の補助を受ける必要があります。 これまで、国において十分な予算措置がなかったために、補助事業として採択されなかったり、補助事業として実施する場合でも、国が定めた単価と実際の工事単価に差があるため、市町村の負担が膨らむなどの実態があると聞いております。 そこで、公立学校における空調設備の整備について、現在どのような設置状況にあるのか、また、整備を進めるため、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長宮尾千加子さん登壇〕 ◎教育長(宮尾千加子さん) まず、1点目の英語教育についてでございますが、現在、熊本県では、小学校において、英語になれ親しみ、主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を身につけ、学ぶ楽しさや達成感を味わうことができる授業づくりを進めています。今年度からは、英語教育アドバイザーを県内全ての小学校に派遣もしています。 中学校においては、自分のことや住んでいる地域のことを英語で発信することができるよう、自分の考えや気持ちを伝える活動を豊富に取り入れた授業づくりを進めています。 また、中学3年生全員にくまモン応援メッセージカード、全中学校にスピーキングテスト対策DVD教材を配付するなど、中学生が英検等の民間の検定試験に積極的に挑戦する意欲を喚起するための取り組みを進めています。 ○議長(坂田孝志君) 残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。 ◎教育長(宮尾千加子さん) (続) 高等学校においては、英語によるディベートやディスカッションなど、より高度なコミュニケーション活動を取り入れた授業づくりを進めています。 しかし、御指摘のとおり、小中高10年間を見通した英語教育の充実を図り、より実践的なコミュニケーション能力の育成に向け、さらなる取り組みが必要です。 特に、話す力、書く力の強化が重要であると考えており、ALTとのコミュニケーションの機会をふやす必要があります。今後、ALTの増員を目指すとともに、ALTを活用したより効果的な学習方法について研究してまいりたいと考えています。 また、英語教育の充実を図っていく上で、ICTの活用も大変有効です。例えば、テレビ会議システムを活用した遠隔授業により、その場にいないALTと英語で話すことができる環境を整備している県内の事例もあり、今後、ICTの活用についても、さらに進めていきたいと思っています。 さらに、大学入試に民間の検定試験が導入される予定であり、早期に対応するため、中学校段階から英検等の試験に挑戦することも重要だと考えています。 昨年度、中学校においてモデル校を指定し、民間団体からの支援を受けて英検の受験料の補助を行ったところ、学校全体での取り組みもあり、本県の英検3級の合格者が大きく増加するという成果もありました。 今後とも、小中高、切れ目のない英語教育の充実を図り、英語教育日本一の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、2点目の空調設備の整備についてですが、本県の普通教室における空調設備の設置については、9月現在で、市町村立小中学校では76%、県立学校では高校で94%、特別支援学校で100%となっています。 市町村立の小中学校ではまだ整備が完了していない学校もあるため、市町村において整備を急ぎ計画されています。 文科省では、8月に市町村の要望を緊急に調査し、来年度の予算の概算要求において、大幅な増額要求が行われているところです。 県教育委員会といたしましても、国に対して、十分な財源の確保、補正予算編成を含めた早急な対応、補助算定の基礎となる単価の引き上げを要望するなど、しっかりと市町村を支援してまいります。  〔池田和貴君登壇〕 ◆(池田和貴君) 教育長から御答弁をいただきました。しっかり頑張っていただきたいと思います。特に英語教育は、非常に重要でありますので、頑張っていただきたいと思います。 また、空調設置についても、国のほうでもしっかりと予算をとるということで、今進めていただいております。総裁選の中でも議論をされているようでございますので、ぜひこういった機会に空調が設置できるような、そういった体制をつくれればと思っておりますので、よろしくお願いします。 大変早口になって、大変申しわけございませんでしたが、これで私の代表質問を終わらせていただきます。 御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○議長(坂田孝志君) 昼食のため、午後1時まで休憩いたします。  午前11時43分休憩    ――――――○―――――午後1時開議 ○副議長(森浩二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 県民クラブ西聖一君。  〔西聖一君登壇〕(拍手) ◆(西聖一君) 熊本市第一選挙区・県民クラブ所属の西聖一です。代表質問は、今回で2回目、通算で18回目の質問となります。前回の代表質問は、熊本地震直後で、初めての防災服を着用し、議場も全員協議会室での議会でした。今回は、改修後の新しい議場、さらには、目の前にあります議場改革の大きな目玉であるスクリーンを設置した議場のこけら落としの場をいただき、大変ありがたいことだと思っております。 さて、さきに西日本豪雨災害、北海道地震が発災しましたが、多くの亡くなられた方に御冥福を申し上げ、いまだ被災に苦しんでおられる方に心からお見舞いを申し上げます。 私どもの熊本県でも、この5年内に、豪雨災害、大地震ともに経験をしていますが、私たちの経験で得た知識が、被災を受けている方々に大いに役立っていただければと願います。 逆に、まだまだ私たちも学ばなければならない点も多くあると思います。例えば、北海道地震での電力のブラックアウト現象は、電力供給のあり方を問いただす衝撃な事例でした。 災害大国日本です。これから南海トラフ地震の発生も想定されていますが、少しでも被害を軽減できるように、知恵と工夫を凝らしていかなければなりません。 災害だけではなく、さまざまな事件、事例が連日報道されていますが、このことは、今世の中が不安定になってきているためではないかと、私は想像します。 行政や議会は、安全で安心な暮らしを実現しなければなりません。執行部におかれましても、日々の通常業務の中でも大変繁忙になってきていると思いますが、新たな対応を求める私からの問いも、県民の声として受けとめていただき、前向きな答弁をお願いいたします。 それでは、1点目、くまもと版クールジャパン戦略についてお尋ねをいたします。 さきの議会で、ルフィの銅像が県庁内に設置され、さらに「ONE PIECE」をめぐるルフィとその仲間たちの銅像も県内各地に設置されるよう、尾田栄一郎さんや関係者と協議を開始すると知事の答弁を聞いたときに、私は大変驚くとともに、言い続けていたことが本当に実現するのだという感慨の深い思いをいたしました。 私が、漫画「ONE PIECE」を活用した県議会での質問を行ったのは、2010年3月11日の一般質問でした。今から約8年前になります。 当時は、漫画のことを議場で取り上げることはどうかという大きな戸惑いもありました。質問を終えた後、今はお亡くなりになられた村上先生が、何で女性の服の話をすっとかいと言われたことは、昨日のように覚えています。 次に2回目の質問を行ったのは、同年の12月7日の一般質問であり、まんが・コンテンツ課をつくり、地域活性化を行ったらということと、尾田栄一郎さんに県民栄誉賞を与えたらという提案をさせていただきました。さすがに漫画「ONE PIECE」も県議会でも認知されるようになっており、県民からの期待も高まっておりましたが、実現はできませんでした。 しかしながら、いずれの答弁でも、蒲島知事は真っ向から否定することなく、支援団体の動向を見ながら、県として必要で効果的な支援をしていきたい旨の答弁をいただいています。 その後も引き続き「ONE PIECE」支援に取り組んでいきたかったのですが、県ではくまモンの育成に力を入れており、ゆるキャラ日本一にもなるなど日の出の勢いがあり、くまモンを県で応援する機運をそいではいけないと私なりに考え、今日に至っておりました。 しかし、ことしの4月に尾田栄一郎さんへ県民栄誉賞が贈呈され、また、ルフィ銅像の設置に至ったことは、大変うれしいことであり、私の提案を実現していただいた知事には、心から敬意を表するものであります。 設置場所については、県民からさまざまな意見もあっていますが、ここに至るまでには、さまざまな要件をクリアしなければならないことを身をもって感じています私は、まずは県庁プロムナードから設置を始めることに問題ないと考えています。 既に、県下でも、「ONE PIECE」の銅像設置については、道の駅大津がネット上での署名活動を始めているように、各自治体で引き合いが始まっているようです。 午前中の知事の発言にもありましたように、県としても、さまざまな調整をする必要に迫られてくると思いますが、調整窓口がないのではと懸念します。くまモングループ内にそういう窓口を設けてはと考えます。 また、漫画、アニメをめぐる動きは県下でもますます活発化しています。合志市、水俣市、高森町、湯前町でつくる熊本メディアコンテンツコミッション協議会では、観光施設などの音声ガイドに漫画、アニメの声優を活用する取り組みなどを行われています。熊本メディアコンテンツコミッション協議会の取り組みではありませんが、既に7年ぐらい前から、熊本市の上通、下通でも「ONE PIECE」のルフィの声でガイダンスがされています。 さらには、先日、県立美術館で、ジブリ映画やさまざまなアニメの背景を描いてきた山本二三さんの作品展が開催されましたが、美術館でもアニメ作品を取り上げるようになったのかという思いで鑑賞させていただきました。 あわせて、「細川ガラシャ展」も開催されていますが、細川忠興の愛刀、歌仙兼定目当てに刀剣女子が訪れている記事も目にしました。忠興公の魅力というよりも、歌仙兼定が人気オンラインゲームの「刀剣乱舞」の人気キャラクターであることが人気を集めた大きな要因であるようです。 また、少し前ですが、市の現代美術館では、「シン・ゴジラ」等の特撮映画で大活躍の三池敏夫特撮美術監督、彼は熊本高校の私の1つ下の後輩で、まさかこのような仕事をしているとは、一昨年の同窓会でお会いするまで知らなかったわけですけれども、彼が特撮技術を生かした熊本城を中心とした城下町のミニチュア模型のすばらしい展示会も開催されています。 まだまだ述べたい事例はあるのですが、漫画、アニメの持つ魅力、そして、その作者等に県にゆかりのある人が数多くおられるということは、熊本の大きなポテンシャルを意味しており、それを活用しない手はないのではと考えます。 政府も、成長戦略の一つとして、クールジャパン戦略を上げています。これは、情報発信、海外への商品サービスの展開、インバウンドの国内消費の各段階を効果的に展開し、世界の成長を取り組むことで日本の経済成長につなげるブランド戦略として定義しています。 そこで挙げられている日本固有の魅力とは、アニメ、漫画、ゲーム等のコンテンツ、ファッション、食、伝統文化、デザイン、ロボットなどが挙げられていますが、熊本県では、この中の漫画、アニメ分野が他県に比べて非常に優位性があると私は考えます。 そこで、漫画、アニメを中心とした、くまもと版クールジャパンに着手してはどうかと考えるのです。 県の観光戦略では、2019のラグビー、ハンドボール世界大会を契機とした外国人旅行客誘致も進んでいますが、アニメの聖地巡礼をその中に加えることは、非常に有効です。リピーターとなり得ること、そして若者が集まるという特質があります。 漫画、アニメの話は、民と民の世界の話で終わっていましたが、政府の取り組み姿勢にもあるように、官民が連携して、障壁を取り除いて、日本経済を活性化しようという新たな成長戦略に県行政で取り組むことは大いに意義があると考えます。 さらに、「ONE PIECE」に関してつけ加えれば、この取り組みを熊本県だけの取り組みではなく、九州全体の取り組みとしたほうがもっと効果的ではないかと思います。九州全体の調整をこの熊本県でやることは、大いに痛快なことではないでしょうか。まさに夢のある施策だと私は考えています。 8年前の提言を受けとめて、実現していただいた蒲島知事に、もっと大きな夢を描いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。くまもと版クールジャパン戦略とも言うべき、漫画、アニメを活用した熊本の活性化について、知事の考えをお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 県では、漫画「ONE PIECE」の作者である尾田栄一郎さんに県民栄誉賞を贈呈しました。ルフィ像については、除幕式の日程が決まり、仲間たちの像についても、集英社との協議の結果、設置に向けて動き出すことに了解をいただきました。今後、市町村との意見交換を行いながら、設置に向けた準備を加速させてまいります。 御質問の漫画やアニメは、それ自体がファンを魅了するのはもちろんのこと、作品のモデルとなった場所や地域資源と掛け合わせることで、交流人口の増加や地域活性化に、より大きな効果を発揮します。 特に熊本は、これまで多くの漫画家を輩出しています。尾田さん以外にも、聖地巡礼ブームを先導した「夏目友人帳」の作者・緑川ゆきさん、「仮面ライダーSPIRITS」の村枝賢一さん、「すすめ!!パイレーツ」の江口寿史さんがいらっしゃいます。 さらには、「巨人の星」の作者で、本県に移住された川崎のぼるさんや、大学時代を熊本で過ごされた「SLAM DUNK」「バガボンド」の井上雄彦さんなどがおられます。その方々を加えると、枚挙にいとまがありません。 これまでも、県では、外国人旅行者の増加に積極的に取り組むだけでなく、市町村による漫画という熊本の強みを生かした地域づくりを支援してまいりました。 先週末には、「シティーハンター」の北条司さんや「北斗の拳」の原哲夫さんなど、著名な漫画家を招いた第2回熊本国際漫画祭が熊本市内で開催されました。私も会場を視察しましたが、漫画の持つ魅力は、世代や国境を越え、多くの方々の共感を得ながら、世界の文化をリードする大きな波になりつつあると感じたところです。 一方で、熊本には世界への大いなるチャレンジを始めたくまモンがいます。その活躍の軌跡は、人類以外では初めてとなる「まんが偉人伝」として書籍化されました。今後は、ユーチューブでの動画配信やアニメ化にも挑戦するなど、その活躍空間はますます拡大しています。 私は、世界から愛されるくまモンと数多くの漫画家をこの熊本から輩出したことは、またとないビッグチャンスであると考えています。 このチャンスを逃がすことなく、くまモンや「ONE PIECE」を初め、熊本ならではの強みを新たな成長につなげていけるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 熊本国際漫画祭を私も見学してきましたが、熊本ゆかりの方が協力して、県内市町村とすばらしい取り組みがされているなと感じました。尾田栄一郎さんはもちろんのこと、「シティーハンター」や「北斗の拳」などを手がけた著名な作者が、熊本への支援をいただいていることに、本当にありがたいというふうに思います。 さらに、今後は、漫画の作家を志す若者の指導をする取り組みもするようですが、一過性の展覧会ではなく、熊本に根が生えた漫画、アニメのコンテンツを生かした取り組みだと考えます。 知事は、阿蘇で芸術を志す方にも優遇措置を設けて、阿蘇からの芸術発信にも取り組んでいます。同様な趣旨で、このような取り組みを支援していただければと思います。 ちなみに、既にまんが・コンテンツ課を設置している高知県や漫画王国鳥取県では、お互いに連携した広域的な取り組みを始めているようです。 本県も、日本を代表するくまモンと「ONE PIECE」を活用、そして連携をとりながら、くまもと版クールジャパン戦略として熊本の活力ある取り組みを期待したいと思います。 続いて、外国人就労についてお尋ねをいたします。 少子高齢化による急激な人口減少社会を迎える日本ですが、さまざまな課題が浮き上がってきています。 例えば、介護、医療、年金など、増加する一方の社会保障制度も、少子化により高齢者世帯を支える働き世代が先細りをし、制度根幹が揺らいでいます。少子化に加えて、グローバル社会の進展の中で、優秀な若者が海外に流出していることも拍車をかけているものと思われます。 労働者の不足、このことは、国内の生産現場に大きな課題となっています。 その対策の一つとして、外国人の国内での就労促進があります。これまでは、技能実習制度や大学などの留学生制度を活用した外国人を国内で研修やアルバイトという形で就労を受け入れてきました。 技能実習制度は、1993年に始まり、発展途上国への技術協力や国際貢献を目的としています。当初は、金属プレス加工など特定の仕事を学ぶとしていましたが、現在では、対象職種も広がり、建設分野のとびや左官なども含めて77職種が対象となっています。 これらの一連の流れは、日本が人手不足を補うために、技能実習というよりも明らかに単純労働者として雇用をしたい日本労働構造の現状をあらわしているものだと考えられます。 さまざまな産業界からの要望を受けて、政府は、平成30年6月の閣議決定で、外国人労働者受け入れに大きくかじを切っています。 その概要は、早くも来年2019年4月に就労を目的とした通算5年の新たな在留資格を設けるというものです。これまでの3年間の技能実習を修了した外国人も新たな資格を得ることができることとされており、結果として在留期間の延長が可能となり、さらにはその受け入れ職種も広がると聞いています。 これまで以上に、多くの外国人の方が身近に在留することになるわけです。 現在でも、一時的に滞在する海外観光客の受け入れが増加しており、繁華街や観光地でも多くの外国人を目にしますので、外国人がふえることには違和感はさほどないのでしょうが、勤務先や居住地区で、ともに働き、生活をしていく外国人がふえていくという観点では、さまざまな課題が出てくるのではないかと、大変危惧されます。 例えば、勤務についてですが、実習生から長期の労働者として受け入れていくわけですから、就労環境を整えなければなりません。単純労働とはいえ、低賃金労働者としての確保を目的としていたら、優秀な外国人の受け入れは困難になります。 ところが、現実は厳しい労働環境が強いられており、全国の労働基準監督署が調査した事業所の7割、4,226事業所で、違法残業、安全基準違反、残業代未払いなどの法令違反が見つかっています。トラブルも多く発生しており、全国的に、低賃金や給料未払い、タコ部屋のような生活実態に対して外国人から苦情が寄せられ、実習終了前の帰国を希望した事件も起こっています。低賃金の単純労働者雇用を希望する雇用者側の受け入れ意識の改革が求められます。 一方の労働者側の意識も変わっています。以前は、中国を中心に実習生が入ってきていましたが、現在は、ベトナムやカンボジアの方が多くなっており、今後は、インドまでと低賃金層で働く労働の受け入れを雇用者側は志向しています。 しかし、アジアの経済発展とともに、日本の労働市場の魅力が低下するおそれもあり、実際にインドネシアの方に聞けば、シンガポールやマレーシアに働く場所が十分にあり、日本まで出稼ぎに行く魅力がないということだそうです。 このことは、いわゆる開発途上国の労働者は、自国周辺の経済状況がよくなれば、わざわざ日本で単純労働の就労をする必要はないということを示しており、先ほど述べた中国からの労働者が減ったのは、まさにその典型事例だと言えます。 日本が、今後の労働力確保策として、低賃金で働く外国人労働者に活路を見出しているとすれば、現時点でのカンフル剤にすぎず、十年一昔という言葉もあるように、今のアジアの日進月歩の経済発展を考えると、10年後の外国人労働者の確保は危ういものではと考えます。 また、生活の面を挙げれば、多言語対応、異文化、異宗教に対する理解、さらには治安維持のための犯罪抑制など、受け入れ自治体としての体制が追いついていないという点を危惧します。 外国人就労者は、現在よりも長期で就労するわけですが、原則家族帯同は認めないとしています。しかし、独身または単独で来るわけですから、5年から10年も日本に滞在すれば、日本人と結婚して家庭を持つ方も今以上にふえてくるでしょう。そうなれば、在留資格どころか、日本国籍取得者として、日本人と同様に生活面での対応をしていかなければなりません。 実習制度が始まる1年前の1992年に、旧労働省は、50万人の外国人労働者を受け入れると、やがて住宅、教育などにかかる社会的コストが、生産力アップによる税収増のメリットを上回るとの試算を報告していますが、既に国内128万人の外国人が就労している状態で、まさにそれが現実化してきています。 さらに、都会と比べて、熊本のような地方は、お互いに顔の見える社会を大事にするため、閉鎖性が強く、よそ者に対する警戒感が非常に強いものがあると感じています。 肌の色の違い、さまざまな言語、文化、宗教等の違いを持った方と、今以上に同じ生活空間に暮らすことは、トラブルの原因になりかねません。 これらを解決するためには、人権や多様性を認め合う相互理解を深めなければなりませんし、そのような教育を重視して、外国人と日本人が共生できる社会を実現していく必要がありますが、今熊本でそれができているのでしょうか。 政府も、7月24日の閣議決定で、外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針を定めています。 その中では、外国人労働者の受け入れについては、法務省が調整機能を持って司令塔を果たす体制整備を始めています。既に来年の国家公務員合格者数の発表結果では、法務省関係の職員採用が大幅に増加しています。 また、2006年に策定された「生活者としての外国人」に関する総合的対応策を抜本的に見直すよう、共生環境の整備に向けて、関係省庁も体制整備に着手するように指示されているようです。 このような動きに対して、本県でも、熊本県外国人労働者の拡大に関する連絡会議が本年8月2日に設置されており、座長は商工労働局長とされていますが、単純な労働雇用だけではなく、共生という観点も踏まえ、幅広に対応する必要があるのではないでしょうか。 一方で、国は、外国人労働者の受け入れの入口体制は充実しても、受け入れる側の自治体のことについては、何も考えていないのではと勘ぐりたくなります。後は外国人を受け入れる企業や自治体任せと言わざるを得ません。喫緊の多言語対応可能な職員の確保など、県を含めた自治体の対応は大丈夫なのでしょうか。 外国人就労に対して、いろいろ懸念される点を述べましたが、このような外国人労働者をめぐる時代の変化をどのように感じているのか、そして本県の対応をどのようにしていくのでしょうか。 労働力確保のために移民政策を実施しながら、今のトランプ政権では移民政策を否定しつつあるアメリカで、青年時代に派遣研修生として、奴隷のような農場実習を体験されたと伺っている知事に、所感等を含めてお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、農業研修生として働きながら、そこで学びの機会を与えられ、人生の転機となった私自身の経験から、外国人材の受け入れに当たっては、多様性を受け入れる社会を築くことが重要と考えています。 日本に来る外国人を安価な労働力として位置づけ、受け入れていくようなことがあれば、やがて日本は働く場として選ばれなくなると思います。 外国人を熊本の将来を担うパートナーと捉え、その多様性を受け入れ、共生する環境を整備していくことこそが、本県の発展につながると信じています。現在国に申請している熊本型農業特区は、まさにこうした理念を実現するものです。 また、議員御指摘のとおり、外国人材の受け入れ増加に伴い、言語や文化、宗教の異なる外国人との共生を目指す取り組みが大変重要となってきています。特に住民サービスを担う市町村の果たす役割は大きく、市町村との連携を強化してまいりたいと考えています。 あわせて、新たな在留資格や受け入れ、共生に係る国の動きを注視しながら、関係部局が横断的に連携し、課題の整理、対応策の検討などを行い、共生社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 答弁にありましたとおり、日本は、働く場として選ばれなければなりません。その上で、本県の場合は、東京など大都市や他県との競争も加わってくるでしょう。その場合、賃金だけではなく、さまざまな意味での環境が整っていることは有利な条件となるはずです。 市町村の対応は、県以上に重要です。外国人の方も、10年も仕事をしていれば子供が生まれ、家族もふえれば、日本国籍を取得して地域住民として生活するでしょう。既に日本各地でも見られる国ごとのコロニーも、県内にできる可能性だってあります。政府は否定していますが、実質の移民政策だと私は思います。 これから外国人労働者の受け入れがどのような形になっていくのか、私には想像がまだまだつきませんが、国の動向を見ながら、県民の声をしっかり受けとめて、知事に対応をお願いしたいというふうに思います。 次に、基金及び財政見通しについてお尋ねをいたします。 少し前になりますが、国の経済財政諮問会議等で、地方自治体の基金積立残高が21兆円に達しているのは、地方では使い切れない財源が積み上がっているからではないか、基金が積み上がっていることについて、地方自治体がきちんと説明を果たすことが必要だということが提起されました。 国としては、赤字国債を発行して、地方交付税措置をしている中で、少しでも負担軽減をしたい意図が見え隠れした意見だと考えます。 この点については、自治体運営を所管する総務省もしっかり反論し、蒲島知事も、自治体の首長として、就任当時53億円だった基金を倍増していたことが、地震対策に大変有効に活用された事例をもとに、不断に基金を積み上げていくことの必要性を訴えています。 この議論はほぼ収束し、基金増を理由とした交付税の削減に至っていないことは、地方自治体にとってはよかったと考えます。 最近は、異常な気象や頻発する地震により、突然の災害に見舞われています。国では、予備費等を流用して災害対策予算を計上していますが、激甚災害指定をするかしないかで、予算措置も大きく変わってきています。しかし、被災自治体では、その決定を待っていては現場の対応ができない中で、自主財源である単独予算や基金等をもとに、迅速に不測の事態に対応をしなければなりません。 また、地震の耐震基準の見直し等により、これから庁舎の建て直しや改修費用が財政に大きな影響をもたらしますが、国の補助は余り期待できない中では、基金等による自主財源をいかに確保しているかが、事業推進の大きな要素となっています。 本県の場合、平成30年3月末の基金残高は2,600億円あり、特定の支出目的があり、県では自由に処分できないものを除くと、1,091億円の残高だと説明があっています。 そのうち地震対策分の基金を除くと、わずか677億円、しかも借金返済に充てる県債管理基金が368億円もある中では、本当に自由がきく基金は、財政調整用4基金の82億円ということになるのでしょう。 さて、このように自主財源が厳しい中で、中期的な財政収支の試算が見直されました。これから第3庁舎とも呼ばれている約100億円の庁舎建設費も加えたところの見直しですが、説明では、蒲島知事が就任した当時の財政危機状況までには至らないという説明です。本当に大丈夫なのだろうかと懸念します。 隣県の長崎県では、新庁舎を建設したためか、基金が一挙に547億円も減額し、財政力指数も0.326まで落ちています。 本県の平成28年度の財政力指数は0.399で、おおむねの基準となっている0.4を若干下回っている程度ですが、先ほど述べた庁舎建設費に基金が使用されれば、財政の危険水域に入ってくるのではないでしょうか。 新しい庁舎をつくった結果、県民サービスの低下やそれを補うための県職員の給与カットを実施するようなことは避けなければなりません。 知事は、私の在任中は職員の給与カットはしないと明言をされており、職員もそれを励みに精力的に職務に専念していますが、見直し試算によると、熊本地震関連の県債残高のピークは平成34年とされており、そのときの知事の判断でどうなるのかわからない状況です。財政の不安は、県民や職員にものしかかってきます。 私は、適切な財政運営はもとよりですが、基金の積み上げと基金の運用による果実──これも低金利の中では余り期待はできないのですが、さらには新たな自主財源づくりに着手するなどの工夫が必要ではないかと考えます。 中期財政試算の結果も踏まえ、基金の確保も含めた本県の財政運営をどのように考えておられるのか、総務部長にお尋ねいたします。  〔総務部長池田敬之君登壇〕 ◎総務部長(池田敬之君) 地方自治体の基金、特に本県におけます財政調整用4基金につきましては、歳入確保、歳出削減、資産売却等、身を削っての行革、財政健全化の取り組みにより積み立てたものでございまして、蒲島県政においては、財政再建戦略の成果として着実に積み上げてまいりました。 議員御指摘のとおり、熊本地震発災直後、これまでの努力の結果で積み立ててきたこれら基金の活用によりまして、国の支援を待たずに迅速な対応ができたと考えておりまして、一定の蓄えは必要であるというふうに認識しております。 今後とも、災害や施設老朽化への対応など、将来的に必要となる財源としての基金残高の確保も含めまして、適切な運用を図ってまいります。 また、財政運営についてでございますが、熊本地震後、震災からの復旧、復興に計画的かつ迅速に取り組む必要があることから、昨年5月、中期的な財政収支を見通すための試算を行いまして、今回、復旧事業の進捗状況や新たな財政需要を反映するなどして、改めて財政収支の再試算を行っております。 その結果、前回試算からは大きく悪化しておらず、これまで取り組んできた本県独自の財政健全化の取り組みと熊本地震からの復旧に対する国の手厚い支援もありまして、各年度における財源不足見込みについては、予算編成過程での事業見直し、あるいは収支改善努力で対応可能な水準であるというふうに考えております。 今後とも、予期せぬ災害や税収の変動、また、社会保障等に要する経費の増加などに備えまして、将来にわたり安定した財政運営に努めてまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 改めて総務部長から、財政の見通しについては、4基金の残高を確保しながらの財政運営が可能であることを答弁していただきました。 県の職員は、知事部局、教育委員会、警察部局、それぞれの部署において、目下の地震からの復旧、復興、そして新たな県政の課題に懸命に取り組んでいます。財政運営のしわ寄せが、職員、そして県民に来ないように、一層の安定した財政運営をお願いしたいと思います。 続いて、児童相談所についてお尋ねいたします。 児童相談所のあり方については、平成22年の質問を皮切りに、何度も私は質問をさせていただいています。昨年の質問を受けて、八代児童相談所のケースワーカーの増員や中央児童相談所の里親担当の拡充などの改善をしていただいたことに、まず執行部に感謝を申し上げます。 現場の職員からも、一定の改善については、評価の声が届いているところです。 その上で、今回また質問をするわけですが、まだまだ改善しなければならない課題があることに加えて、国が児童虐待防止対策に大きく力を入れ始め、追い風が吹いていますので、この機に乗じてという思いです。 さて、児童の虐待に関する事件が次々と報道され、痛ましい結果となっていることは、皆様もよく御存じだと思います。 さきの東京都目黒区の事案のような虐待死を防ぐために、児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策が関係閣僚会議で決定され、緊急に実施する重点対策及び児童虐待防止のための総合対策が発表されました。 国のほうでは、さまざまな視点から取り組みが強化されていますので、その指針等と照らし合わせながら本県の対応をお尋ねいたします。 まず1点目は、職員の確保と専門職員の配置です。 現行の児童福祉法によると、児童福祉司の配置基準は、人口4万人当たりに1人の目安であり、本県に引き直すと、中央と八代の児童相談所の児童福祉司数は27人必要となり、現在は、経過措置として22人となっています。仮に今回の緊急総合対策により、基準が3万人に1人となった場合には、この基準に照らし合わせると36人の配置が求められ、新たに14名必要となります。 さらに、児童福祉司の増員に合わせて、児童心理司も増員しなければなりません。また、数だけではなく専門性も求められています。 例えば、医師または保健師の設置も義務づけられていますが、本県の保健師は、本来業務ではなく、ケースワーカーの業務に携わっています。保健師としての専門業務に専念できる配置が求められます。 弁護士の配置も国のほうで支援するとされています。県では、既に非常勤職員として配置をし、相談業務に対応していただき、現場の職員も大変心強いという評価を伺っています。そこで、さらに非常勤から常勤職員としての配置を検討することも必要だと思います。 児童福祉司や児童心理司、医師、保健師、弁護士など、専門性の高い職員の確保と配置について、今後どのように考えているのかお尋ねいたします。 2点目は、一時保護所の体制整備についてです。 本県では、中央児童相談所内にありますが、八代児童相談所内にはありません。県内の状況からすれば、八代と天草にも一時保護所は必要だということを、以前から私は申し上げています。 八代については、さきの議会答弁で、民間施設の利用も検討する旨の答弁をいただいていますが、いまだ実現していません。そのため、八代児童相談所の職員は、中央児童相談所とのやりとりで業務が煩雑となり、担当職員も該当児童にとっても利便性が悪いものとなっています。 児童虐待防止を早期に適切に処置するためにも、改めて体制を整えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 3点目は、職員の資質向上の点です。 専門性を持った職員の採用拡充で補うことはもちろんですが、一般行政職員から配置された職員の質の向上も求められています。 現在の児童相談所も、一般の行政の職場同様、3から4年の定期異動で担当職員が入れかわっています。その際、個別の相談案件の引き継ぎ等がきちんとされなければ、虐待を受けている児童等の確認漏れが出てくる可能性が高まります。 また、税務職等でも業務のスペシャリストの育成が必要とされていますが、虐待案件の増加やそれに対応した国の法改正等が毎年のように変わってくる中で、児童相談所等の運営に関して精通した職員が現場では求められています。 以前、一般の行政職員が、1年程度専門的機関の研修に派遣されて、その成果を児童相談所において生かしていたようですが、現在は、そのようなことはないようです。職員の資質の向上という点から、専門機関への派遣研修について、再度検討してもいいのではないでしょうか。 あわせて、市町村の体制強化も求められている中で、市町村担当職員を福祉総合相談所に派遣していただいて、一緒に情報を共有し、おのおのの自治体で児童虐待を含めた子育て対策の業務に生かせるような制度も検討するべきです。その際の派遣等にかかる費用を国に負担してもらうような施策要望をしてはいかがでしょうか。 4点目は、児童相談所と警察との連携についてです。 今回の緊急総合対策により、児童相談所と警察の情報共有などの連携強化について示されました。 これまでも警察と児相の連携がなされているところですが、児童虐待防止に関する児童相談所と警察の今後の連携について、警察はどのようにお考えでしょうか。 以上、1点目から3点目までを健康福祉部長に、4点目は県警本部長に答弁をお願いいたします。  〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕 ◎健康福祉部長(古閑陽一君) まず、1点目の児童相談所の職員確保と専門職員の配置についてお答えをいたします。 児童相談所では、子供に関する相談や支援等について、児童福祉司や児童心理司、保健師、弁護士など、さまざまな専門職種が、連携、協力しながら対応しております。 現在、県児童相談所に配置しております児童福祉司は23名で、これは児童福祉法に定める配置基準を満たしております。来年度は、配置基準が27名になるため、その確保に向けた対応を進めております。 一方、国では、年内に児童虐待防止対策体制総合強化プランが策定される予定であり、この中で、さらなる児童福祉司の増員など、児童相談所の体制強化を図ることとされております。 今後は、これらの国の動向を踏まえた上で、さらなる専門職員の確保やそれぞれの専門性が発揮できるような職員の配置、常勤化などについても検討を行ってまいります。 次に、2点目の一時保護所の体制整備についてお答えをいたします。 県南地域の一時保護所につきましては、児童養護施設等の関係機関と検討を行っておりますが、実現に向けては、専門的な受け入れ体制の整備などに課題がある状況です。 このような中、県としましては、国から示されました新しい社会的養育ビジョンの理念に基づき、来年度までに児童相談所の機能強化と一時保護改革などを含む社会的養育推進計画を策定する予定です。その中で、児童養護施設等における一時保護専用スペースや、一時保護委託が可能な里親の確保など、地域分散化を含めた一時保護機能の充実強化について検討してまいります。 最後に、3点目の職員の資質向上についてお答えをいたします。 昨年度から児童相談所職員及び市町村担当職員に対する研修が義務化されたことに伴い、県では、その充実に取り組んでおります。 児童福祉司については、任用前後に虐待対応や面接技法等の演習を交えた研修を実施しております。また、市町村担当者につきましても、虐待の予防や早期発見、関係機関との連携方法などの研修を実施し、これまでに42市町村から延べ101名が受講しております。 なお、御提案がありました県職員を外部の専門機関へ派遣する研修につきましては、今後も増加する専門職員の配置状況等を考慮した上で検討してまいります。 また、市町村職員の研修受け入れにつきましても、まずは、短期研修の受け入れ等を実施し、ニーズや課題、さらには市町村の意向等を踏まえた上で、長期研修の受け入れや派遣しやすい環境整備等についても検討してまいります。  〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌君) 県警察におきましては、児童虐待事案に係る痛ましい事件の発生を防ぐべく、虐待事案の早期発見と継続的な把握に努め、事案の重大性に応じて行為者の検挙や警告を行っております。 児童相談所との連携につきましては、児童相談所への通告等、情報の共有に努めているところでありますが、本年6月に児童相談所と締結した協定を踏まえ、より一層緊密な情報共有を推進してまいります。 また、児童相談所への警察官及び警察OBの配置への協力、児童相談所との定期的な連絡会議や合同研修の実施にも取り組んでいるところです。 今後も、これらの取り組みを積極的に進め、児童相談所との連携を強化し、児童の安全確保と被害拡大防止を図ってまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 答弁にありましたとおり、職員の配置や一時保護機能の充実など、国の動向、県の計画に沿って、速やかに、そして積極的に検討していかれることを期待いたします。 その中で、人員体制等の具体的な人員配置は、来年度からの人事異動にもしっかりと反映してもらいたいものです。このことは、国のプランによって新たな業務が加わったのではなく、既に危機的に人手が足りないことを念頭に対応していっていただきたく考えるからであります。 また、県警におかれましては、情報共有のために、既に児相と協定を結んでいただいていること、また、答弁にもありましたとおり、積極的な取り組みを考えられていることに心から感謝をしたいと思います。どうぞこれからも事件が出ないようにお願いをしたいと思います。 本県から痛ましい児童虐待の事件が起こらないことを心から願って、次の質問に移りたいと思います。 障害者雇用の問題についてお尋ねをいたします。 全国で相次ぐ障害者雇用水増し問題については、本県も該当していたのは御存じのとおりです。精査もされ、原因を含めて、知事からの謝罪もあっているところです。 本県は、障害のある人もない人も共に生きる熊本づくり条例を全国に先駆けて制定し、合理的配慮のもとに、障害者が働きやすい環境づくりにも率先して取り組んでいたわけですから、今回の結果は遺憾と言わざるを得ません。 先ほど池田県議からも質問があり、数年かけて法定雇用率を達成する回答は述べられましたが、具体的対策を考えると非常に難しい現状があるのではと考えます。 例えば、既に障害者として採用されている自治労組織の障害労働者連絡会の中での意見では、職場の階段には手すりを全てつけてもらいたい、車椅子を使用する身障者からは、スロープやエレベーター、身障者用トイレが設置されている勤務公署が限られているなどの意見が寄せられています。 現状の施設を改修して対応しなければなりませんが、早急に改修が実現できる職場は限られているのではないでしょうか。 法定雇用率が達成できていない自治体の中には、障害のある方が公務員の職場で勤務を希望する人がいないという記事もありました。 私が聞くところでは、大手民間企業では、法定雇用率を達成するため、重度障害のある方でも、自宅でパソコンによる入力作業や図面やデザインができる方の情報をいち早く取得して、企業にあっせんしており、既に関東周辺では、そのような障害者は不足するため、九州にまでその必要数の確保を広げているそうです。そうなるとますます公務員を希望する障害者の確保が難しいと考えます。 指をくわえて待っているようなお役所仕事では、人材は集まらないということです。障害のある方でも、魅力ある就労しやすい職場や職域を考えるべきだと思います。 そこで、在宅就労による職員の採用や障害のある方が働きやすいサテライトオフィスの設置による新たな雇用スタイルにより、雇用率の達成を目指すことも必要ではないでしょうか。 障害のない職員も含めて、全ての職員が現在ある勤務公署で仕事をしなければならないという現在の働き方を見直しをすることによって、障害のある方にも開かれた公務職場というものが実現できるのではないでしょうか。 また、現在の採用に当たっては、介護者を必要とする障害のある方は、受験資格がないようですが、この点も改善してほしいという強い要望があるとお聞きしています。 私は、今回で問題になった法定雇用率の達成が到達点ではなく、働きやすい環境をつくっていくことが、障害者雇用促進法のもともとの趣旨だと考えます。 この問題は、行政、教育委員会、警察等、県に関する公務全体の人事管理の共通事項ですので、総務部長にお尋ねいたします。  〔総務部長池田敬之君登壇〕 ◎総務部長(池田敬之君) 知事部局におきましては、平成9年度から、身体障害者を対象に別枠で試験を創設いたしまして、これまで46名を採用しております。また、知的障害者精神障害者のインターンシップを平成19年度から導入いたしまして、平成21年度からは、非常勤職員としての任用も始めたところでございます。 このように職員採用の取り組みを進める一方で、障害のある職員の職場環境につきましては、毎年度全所属で実施しております育成面談などの機会を捉えまして、職員からの意見や要望を聞いております。それらを踏まえ、視覚障害のある職員にはパソコンに音声読み上げ装置を導入するなど、必要な機器の設置や、通勤等にも配慮した人事異動など、職務遂行に支障がないように努めているところでございます。 議員から御提案がありました新たな雇用スタイルや働き方の見直しについてでございますが、働く意欲と能力のある障害者の方々を一人でも多く雇用するためにも、これまでのやり方や発想にとらわれず、柔軟に考え、対応していくことが重要との御指摘と受けとめております。 午前中の知事答弁でもありましたとおり、より多くの障害者の方々が、公務の場で働くことができるよう、先進的な取り組みなどをしっかりと把握しまして、よりよい職場環境づくりに努めてまいります。 なお、身体障害者を対象とする採用試験における介護者なしに職務遂行が可能という受験資格についてでございますが、働く意欲と能力のある障害者の方々を、これまで以上に雇用していくためにも、働きやすい環境づくりとあわせて、そのあり方について検討を進めてまいります。 今後とも、障害者の採用を初めといたしまして、障害者の社会参画の促進につながるよう、県としても取り組みを進めてまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 大変前向きな答弁をいただいたと思います。 サテライトオフィスのような一足飛びの提案には、ちゅうちょがあるとはわかりますけれども、先進的な取り組みを参考に、本県での導入が近いうちに実現できることを期待します。 また、介護者なしに職務遂行は可能という受験資格についても、あり方について検討をしていくという答弁は、関係者にとって大きな光となると思います。 今回の問題を契機に、本県が、障害のある方にも公務職場として選ばれるよう、一層の取り組みをお願い申し上げます。 続きまして、教員確保の問題についてお尋ねをいたします。 教員の長時間労働が深刻化し、その負担軽減が課題となる中で、全国的な調査の結果、定数に対して600人不足していることが報道されています。 うち熊本県では、24人の不足とされています。教職員の業務がふえ、繁忙化し、対策が求められる中で、必要とされる定数が満たされていないということは、子供に向き合う教育の体制が不備だと言わざるを得ません。 学校単位や教育委員会組織で職員の不足分を何とかカバーしていると説明を受けていますが、内部でやりくりをするのではなく、速やかに一定の採用条件を満たす臨時職員を正規職員に採用すれば、臨時職員のモチベーションも上がり、正規職員の数が確保され、周りの先生の負担も軽減され、結果的に子供たちに向き合う時間が確保されるなど、よりよい教育ができるのではないでしょうか。 また、私の周りでは、教員試験の2次面接まで行っても採用されなかった話をよく耳にします。先生を希望する学生もたくさんいるわけですから、試験合格の補欠名簿をつくって、職員の欠員が出れば、順次繰り上げ採用をしていくような制度を教育委員会が取り組めば、少なくとも定数の不足は解消できるのではないでしょうか。 あわせて、県教職員の採用は49歳までの年齢制限がありますが、熊本市教職員採用は59歳までとなっています。都会で教員をされた方が、実家の介護のために熊本に帰ってきても教職員になれないということも耳にしました。このような経験者を採用できるように、熊本市と同様に、採用年齢制限を見直してはいかがでしょうか。 さらに、本県でも、全国的傾向と同様に、臨時職員の希望者も少ないと伺っていますが、これは臨時職員に対する処遇が悪いからだと考えます。 臨時職員を希望しない有資格者は、正規職員採用試験合格に向けて、あえて処遇の悪い臨時職員としての採用を敬遠しているのではないでしょうか。 処遇の悪い一例として、本県の場合、年度末に必ず2日の任用空白日を設け運用しており、そのことが給与の減少など臨時職員に不利益を与えています。この点は、さきの議会で、岩田議員の指摘により、1日だけは短くなったようですが、まだ空白期間は残っています。 全国でも、空白期間のない運用をしている県はあると伺っています。本県も、臨時職員の任用の空白期間を廃止することは大きな改善です。 また、福岡県では、臨時職員も採用年数を重ねることで昇給をする制度を導入しているようです。臨時職員の処遇改善は、教職員確保の重要な課題です。 以上、教職員の確保について、何点か指摘をさせていただきました。 教員不足を解消するために、その確保策について、前向きな答弁を教育長にお尋ねいたします。  〔教育長宮尾千加子さん登壇〕 ◎教育長(宮尾千加子さん) 県教育委員会では、子供たちの夢や希望を育み、情熱とやる気を持った、優秀で質の高い教員を確保できるよう努めています。 教員の採用に当たっては、長期的な視点に立ち、定員管理計画に沿って新規採用者数を確保するとともに、社会人経験者や他県等の現職教員など、優秀で多様な人材も積極的に採用しているところです。 他方、景気の回復や人手不足等もあり、他県と同様に、熊本県においても、教員志願者数が減少してきており、強い危機感を持っているのも事実です。 このような状況を踏まえ、教員採用選考考査の募集に当たっては、現職の若手教員とともにその教員の出身大学を訪問し、教員の仕事の喜びや充実感などを学生に直接伝えるなどの取り組みも進めております。 また、現在のところ、正規教員は確保できているものの、臨時的任用教員の一部が不足している状況にあることは、議員御指摘のとおりです。 そのため、ホームページ等を活用した募集、大学等とのさらなる連携、教員の人的ネットワークを活用した働きかけなど、必要な人材を確保できるよう、さまざまな工夫をしております。 なお、教員採用選考考査の年齢要件の見直しや臨時的任用教員の処遇については、これまでもさまざまな改善に努めてきたところですが、来年度に向け、国の動向や全国の教育委員会の取り組み状況等を踏まえながら、引き続き検討してまいります。 教育の目的は人づくりであり、専門性が高く、子供たちに寄り添うことができる心豊かな人材を確保することは、極めて重要なことです。 私は、教員という仕事は、子供たちの成長とともに自分も成長できるすばらしい仕事であると思っています。 今後とも、教員の魅力ややりがいをしっかりと発信し、本県教育の将来を担う優秀な教員を一人でも多く確保できるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 教育長から答弁をいただきましたが、教員採用選考考査の見直しや臨時的任用教員の処遇について、来年度に向けて検討していくとのことで、大変積極的な取り組み意欲と受け取りました。 最近は、教職員の不祥事対応に追われて、苦悩されている宮尾教育長のテレビからのお姿を拝見して、私も悲しくなります。 教員の職場環境、そして子供たちのよりよい教育環境をつくっていくことが、教育長の大きな役割の一つです。積極的に優秀な教員確保をするとともに、臨時職員のモチベーションを上げる施策にも取り組んでいただくよう、宮尾教育長の今後の手腕に期待をしたいと思います。 次に、会計年度任用職員制度についてお尋ねいたします。 地方公務員の臨時・非常勤職員は、年々増加し、平成28年4月現在、64万人に達しており、地方公務員総数278万人に対して約25%を占めています。県内市町村では、3割以上を占めている状況で、菊陽町のように50%を超える職員数になっているところもあります。 このように、現状においては、臨時・非常勤職員は、地方行政の重要な担い手となっていますが、公的ワーキングプアとやゆされることもあり、適正な任用、勤務条件が求められています。 そのため、働き方改革の一環で、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正し、一般職の会計年度任用職員制度を創設し、任用服務規律等の整備を図るとともに、特別非常勤職員及び臨時的任用職員の任用要件の厳格化を図り、会計年度任用職員制度への必要な移行を図ることが決定しました。あわせて、会計年度任用職員には、期末手当等の支給を可能とするものです。 総務省が、今年度初めに、全国の都道府県、市区町村の会計年度任用職員制度の準備状況について調査を実施しており、本県における現行の臨時・非常勤職員が、制度移行後の特別職非常勤職員、臨時職員、会計年度任用職員にどのように移行するかについて、人事当局において整理をしています。 知事部局では、平成29年度において、採用した延べ人数になりますが、一般事務職員、医師や看護師等医療系の職員、義務教育系以外の教員、消費生活相談員及びその他職員、これは相談員、調査員、研究員などがおりますが、非常勤職員が約18職種、1,464人、それとは別に、臨時職員581人、計約2,000人近い方がいます。 知事部局の業務は、正規職員約4,200人に加えて、こうした臨時・非常勤職員の方々のマンパワーも活用しながら運営されていることになります。 (資料を示す)この資料は、総務省自治行政局公務員部が作成したものを、一部人事課で加工したものです。 2020年4月1日に制度移行が実施される予定であり、その内訳は、表のとおりですけれども、左から、任期の定めのない常勤職員いわゆる一般職員、その下に任期つき職員、再任用職員等約4,200人と、短時間の任期つき職員、再任用職員がいます。 で、真ん中にあるとおり、会計年度任用職員が、フルとパートの2タイプ、ここに約1,700人おります。そして、専門的な知識経験等に基づき助言、調査などを行う特別職非常勤職員が約270人、それから、常勤職員の横の③にあります臨時的任用職員、これは約20人となる見通しであり、これまでの臨時・非常勤職員の約85%近くの方が会計年度任用職員に移行されると聞いています。 なお、会計年度任用職員は、一般職の非常勤として整理され、上司の指揮監督下で、常勤職員がつくべき業務、本来的業務を補完、補助する業務などに従事し、その職務の内容や責任の程度については、常勤職員とは異なる設定が必要とされています。 そこで、この制度移行でさまざまな課題がありますので、何点か指摘をしたいと思います。 昨年度の関係法の改正に伴い国が発出した運用通知「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の運用について」において、臨時・非常勤職員の職の設定について基本的な考え方が示されています。 現在、人事担当部局では、この通知を踏まえ、各所属長に対して、既存の事務事業の廃止、縮小を進めるとともに、さらなる民間委託の活用等による業務改革を推進し、真に会計年度任用職員として必要かどうかを精査するよう検討を促しているようです。 確かに、できればそうしたいところでしょうが、現場では、頭数という表現は不適切ですが、少しでも人手が欲しいほど職員数が不足しています。たとえ臨時・非常勤職員であっても、民間委託して職員数を減らしても余裕のある職場は少ないと考えます。 また、費用の問題です。 これまで、行革で職員減をしながら、実態は正規から非正規職員に置きかえて、人件費削減等に取り組んできました。しかし、今回の制度改正で非正規から会計年度任用職員ということで、一挙に人件費がふえます。さらに、期末手当支給も可能となりますから、それらの財源確保が必要となります。 国のほうでも、会計年度任用制度創設に伴い、費用を地方財政措置することを検討しているようですが、満額に達するのか不透明です。 しかも、手当支給については、各自治体の判断によるとされています。財源の余裕のある自治体では、給与改善に取り組めるのでしょうが、厳しい自治体では、大変な問題です。 本県も、中期財政の見通しも示されていますが、決して余裕がある財政状況ではありません。厳しい財源の中で手当の支給ができるのか懸念します。 これまで、人件費抑制のために、物件費に置きかえていた職員の賃金が人件費に戻り、そして、それが必要な職員であることを考えるならば、行革で減り過ぎた正規職員を確保することが原則ではないかと考えます。 職場での人員増に対する要求は、人事課も十分認識されていると思います。 また、人事課によれば、2020年4月から制度を実施するために、県の条例も変更しなければなりませんが、条例改正は来年度中と伺っています。 しかし、職員は公募ですから、原則採用試験をしなければなりません。周知期間も含めれば、来年の4月には募集要項を公表して採用業務に取りかかるべきだと思います。 また、市町村は、県の条例を参考にしながら、各市町村の条例改正に着手するのが通常です。率先垂範ではありませんが、今回の制度改正について、県がいち早く取り組んで、市町村の参考となるようにしなければ、最近問題になった障害者雇用率の問題ではありませんけれども、不適切な採用事例が起こり得るかもしれません。 さらに、職員の処遇をめぐる諸条件は、管理運営事項ではなく、労使協議が必要です。職員組合との協議は進んでいるのでしょうか。 さらにつけ加えるならば、今、正規職員については、職員の人事評価制度が導入され、昇任、昇格、昇給にも大きくかかわっています。今回の会計年度任用職員についても、評価制度を導入するようですが、各所属長がそこまでの評価ができるのか疑問に思います。 制度施行までには、あと2年あるという認識のようですが、労使協議を含めて制度の概要をしっかり詰めて、来年4月には条例改正を行うスピード感がないと、事務的にも大変な混乱を起こすのではないかと懸念しています。 法律の施行時期である2020年4月に向けた現在の取り組み状況について、総務部長にお尋ねいたします。  〔総務部長池田敬之君登壇〕 ◎総務部長(池田敬之君) 本県では、正職員の配置を基本としながらも、専門的、効率的な処理が必要な業務や一時的な業務変動に対応するため、非常勤職員や臨時職員を任用しておりますが、制度移行後は、御指摘のありましたとおり、その多くが会計年度任用職員として任用されることになります。 現在、正職員が担うべき業務と会計年度任用職員が担うべき業務の仕分け、具体的な任用手続、給与などの勤務条件、人事評価のあり方など、制度移行に向けて整理すべき事項につきまして、本県における任用実態を踏まえながら、検討を進めているところでございます。 本年8月には、現時点における検討の方向性につきまして、庁内向け説明会を開催するとともに、現在、制度移行に当たっての課題などについて関係課へのヒアリングも実施しております。 今後、こうした取り組みを加速させ、職員組合との十分な意見交換を行いながら、年度内には制度内容を固めまして、来年度上半期をめどに、関係条例の改正を行う予定としております。 現在任用している臨時・非常勤職員に対しましては、制度内容確定次第、丁寧に周知を図ってまいります。 また、県内の全市町村で非常勤職員等が任用されておりますが、各市町村においても、円滑な制度移行に向けて検討が進められております。 県といたしましても、適正な任用がなされるよう、市町村を対象とする研修会の開催や情報提供などを通じまして、引き続き、きめ細かに支援してまいります。 職員の処遇に関する重要な制度改正になりますので、移行に向けて混乱を招くことがないよう、着実に準備を進めてまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 私の説明でわかりにくい点も多々あったと思いますが、この制度改正は、公務員の働き方に大変な影響を与えるもので、適切な制度移行が求められています。答弁では、年度内に職員組合との十分な意見交換を行い、来年度上半期をめどに条例改正を行うとのことです。あわせて、近いうちに市町村に対しても説明会を実施していくことと伺いました。 この制度改正は、臨時・非常勤職員がふえている市町村が、より深刻だろうと考えています。県は、制度運用について、市町村に助言をしていく立場ですから、県自体の方針がきちんと固まっていなければ、それもままならないと考えます。 職員の処遇に関する重要な制度改正であり、混乱を招くことがないように着実に進めていくということなので、重ねて取り組みをしっかりやっていただくようお願いをいたします。 続いて、公文書管理についてお尋ねをいたします。 国会審議の中で、森友、加計学園をめぐる公文書の改ざん、紛失、防衛省の南スーダンに関する報告書の隠蔽問題など、公文書をめぐる一連の不祥事が大変問題となりました。 私は、県の職員でありましたから、公文書が隠蔽、改ざんされるなどとは考えられませんし、しかも国のトップ機関でそのようなことが実施されたことに大変憤りを感じました。 言葉では、言った、言わないの世界がありますが、文書として記録されたものは、確たる証拠として取り扱われるものです。最も公平、公正、公明な機関であるべき行政において、文書管理の不正はあってはならないことです。 政府は、この一連の不祥事を受けて、再発防止策として、今後の文書管理については、電子化をベースとして公文書を管理し、さらに、違反者については、新たに罰則規定を設けていくという方針を示しています。 公文書の電子化というと、情報がデータ化され、改ざん等の不正防止に向けて、非常に適正な管理がなされるようなイメージがありますが、果たしてそうなのでしょうか。 先ほども私が県の職員であったことを述べましたが、決裁文書区分は甲乙丙丁に分かれています。甲決裁は、知事、副知事承認事項でありますから、そこに至るまで多くの方の意見と印鑑をもらって認められた文書であります。 私は、各課にまたがる補助事業を担当したこともありますが、1つの決裁文書に印鑑を40個近く押印していただくこともあり、担当職員として、決裁を終え、公文書として残すことは、その苦労の結晶のあかしでした。 中には、印鑑をわざと逆さまに押す方もいらっしゃいましたが、それは疑義があるけどという隠れた意思表示であり、そういうものは電子化された文書からは読み取れないものがあり、紙による公文書は、引き続き保存が必要だと考えます。 また、今回の一連の中で、公文書の範囲にメモが該当するのか、説明資料が該当するのかなども議論の対象となりましたが、私は、過程も含めて全てを公文書扱いにして、電子化できないものも含めて記録を残すことが大変重要だと考えています。 当時の判断が的確とされていても、後年度の検証では違う判断に至るかもしれません。ですから、公文書は、当時の判断、許認可等の事実をできるだけ手を加えずに残し、国民の知る権利に対応できるかどうかということではないかと考えます。 アメリカでは、60年後には全てのトップシークレットの文章も全て開示されると伺っていますが、まさに歴史遺産として取り扱っていることに感心をいたします。 この点は、学者である知事は、これまでの政治学の研究の中で、行政文書の価値は認識をされていると思います。 さて、本県は、行政文書の管理に関し、条例を制定しています。以前、20年ほど前に私が携わっていたときの文書管理システムよりもかなり厳格な管理システムと伺いましたが、このような条例を制定しているのは、全国でも、本県を含めてわずか6都道府県であり、行政文書の管理については先進県と伺っています。 そこでお尋ねしますが、条例制定までの経緯、条例で定める本県の行政文書管理制度の特徴、その上で、国において行政文書管理制度の改善が進む中、県としても今後の制度を見直していくのか、総務部長に伺います。  〔総務部長池田敬之君登壇〕 ◎総務部長(池田敬之君) まず、条例制定までの経緯でございますが、行政文書は、県民共有の知的資源であり、その適正な管理は、民主主義の基本であるという蒲島知事の考えを受けまして、平成21年に、有識者による行政文書管理のあり方検討会を設置いたしました。 この検討会におきまして、透明性、公開性及び第三者の関与を柱とした条例制定を求めるとの提言を受け、全国の都道府県では当時2番目となります条例を、平成23年3月に制定をいたしたところでございます。 次に、本県の行政文書管理制度の特徴でございますが、主なものは2点でございます。 まず1点目となりますが、本県では、意思決定過程や事務事業の実績の評価、検証を、事後において確実にできるような仕組みとしたことでございます。 具体的には、県の各業務の流れに応じ作成すべき文書を明示し、あわせて保存期間や保存期間満了後の廃棄等の措置を定めたことによりまして、全ての業務において、一連の過程が確実に文書として残るようにしております。 2点目が、行政文書の廃棄について、それまで行政機関の判断だけで行っていたものを、パブリックコメント、有識者による確認、そして第三者機関であります行政文書等管理委員会の意見聴取という3段階のチェックを経て廃棄をするということとしているところでございます。 最後に、制度の見直しについてでございますが、条例の本格施行後6年目となります昨年度においても、職員の制度に対する理解不足等によりまして、3段階のチェックを経ないまま廃棄してしまうという誤廃棄事案が発生をいたしております。 このため、今後も職員への制度の周知を徹底するとともに、制度への理解を深めるための条例解釈運用基準の策定、より使いやすい文書管理システムへの改修、文書管理に係る監査の充実など、さらなる改善を図ってまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 熊日新聞の「射程」には、今回の問題で、国会審議の中で、安倍首相が、公文書管理の質を高める取り組みとガイドラインの改正に胸を張っているにもかかわらず、経済産業省では、その内容をなし崩し的な取り組みにする指示の文書を職員に送っていることが掲載され、公文書管理のあり方に警鐘を鳴らしています。 本日の答弁で、知事の指揮のもと、行政文書は、説明責任を果たすための共有の知的資源であり、その適正管理は民主主義の基本として、全国的にも先進的な取り組みを平成23年から進めていることをお聞きして安心をいたしました。廃棄についても、3段階のチェックを経ることが決まっていることなど、公文書の取り扱いについては、国以上の制度ではと感心いたします。 ただ、問題点も挙げられているとおり、文書管理の急激な変化は、職員にとって過剰な負担になることもあります。行政文書の管理が職員の日々の仕事にかかわっていることを考えれば、職員の負担にも配慮して、長い目の視点を持って着実に改善に取り組まれることを期待いたします。 続いて、立野ダム建設についてお尋ねいたします。 7月6日からの豪雨は、西日本豪雨として、四国・中国地方を中心に大変な災害をもたらしました。お亡くなりになられた方への御冥福と、今なお被災に苦しんでおられる方には心からお見舞いを申し上げます。 熊本地震で大変支援を受けたこともあり、本県及び県内自治体、そして多くのボランティアの方が復旧に駆けつけています。しかし、今年は大変な猛暑でもあり、復旧の支援もなかなか進まないことを伺っています。 昨年の九州北部豪雨災害もそうですが、改めて土砂災害の復旧の困難さを物語っています。 洪水や土砂災害を防ぐために、さまざまな対策で、国や自治体では洪水調節用ダムや砂防堰堤の建設を進めています。 本来は、これらの施設で災害を少なくしなければならないのですが、今回のいわゆる想定外の豪雨により、一部の地域では結果的に災害を助長する結果になっています。 例えば、広範囲で土砂災害が発生した広島県の坂町では、68年前の石積みの高さ11メートルの砂防堰堤が土石流で決壊したと言われています。古い構造物の老朽化が原因ですが、どんなに頑丈な構築物でも老朽化からは逃れられません。維持費の費用は後世に負担がかかってきます。 また、広島市安芸区の梅河団地は、崩れた裏山の土砂が、ことしの2月に完成したばかりの治山ダムを乗り越え、住宅をのみ込んだとされています。 この治山ダムは、地元住民が要望して建設され、地域住民は完成を喜んでおり、安心していたことで避難がおくれ、5人がお亡くなりになったと記事に掲載されています。 改めて自然災害の脅威を感じますし、国も検証で示しているようですが、ダムや河川改修など大規模構造物建設での安全にも限界があり、避難訓練など日ごろから防災意識を高めていく必要があるとしています。 さて、先日、立野ダム建設工事が8月5日に着工されました。昭和28年の白川大水害被害が二度と起きないように、受益地の熊本市を初めとする流域市町村の住民からの要望に国が対応して建設するものです。 完成すれば、一定程度の効果は十分見込めると思いますが、私は、今回の西日本豪雨の被災状況や台風、豪雨等の異常気象を鑑みて、今のままのダム計画を推進していいのか、改めて問い直したいと思います。 (資料を示す)最も懸念するのは、穴あきダムで、自然に優しいダムとPRされていますが、その穴が詰まったらどうなるかということです。 今スクリーンに映し出していますが、この3つの穴が詰まるのではないかと、私は申し上げます。 この点は、国交省に問いただしても、絶対に穴は詰まらないの一点張りで、議論は平行線に終わっています。 なぜ私が穴が詰まると申し上げるのか。皆さんは、プールで泳いだことがあると思いますが、排水口のそばに立つと、吸い寄せられて大変な水圧がかかり、脱出できない経験をしたことがあると思います。 また、屋敷の雨どいや道路の排水溝が詰まる原因は、木の葉が数枚へばりついただけで詰まってしまうことを目にしていると思います。 (資料を示す)立野ダムについては、スクリーンをつけるから流れてくる木材などが詰まらないという説明があっていますが、台所のキッチンの排水口にはフィルターをかけて食べ物の残渣がパイプに詰まらないようにしています。排水口には残渣は詰まりませんが、フィルターには詰まるわけで、それを除去する作業を日常のように行っています。 お手元に立野ダムの放流孔とそれに設置するスクリーンの模型写真を添付していますが、5メートル四方の放流孔の上に網目状のスクリーンをつけて流木の流入を防ぐというものです。 放流孔は、現在の川と同じ高さに1カ所、それより高い位置に2カ所設置することになっています。そのうち、最下段の放流孔に設置されるスクリーンは、通常の河川水が流れる部分が開いた構造になっています。大きな岩石は、写真の手前に流木等捕捉施設を設置して、この放流孔には届かないようにするとされています。 私は、このスクリーンで放流孔への流木を防ぐことができるのか、疑問に思います。大変な水圧で流木と土砂が一気にこの放流孔に流れ込み、土砂が堆積してしまうことが容易に想定されます。 試算しますと、穴が塞がった場合、立野ダムの容量は1,000万立米なので、九州北部豪雨のピーク流量の毎秒2,300立米で割れば、約72分、1時間12分で満水になると計算上考えられます。 そして、もし詰まれば、高さ90メートルまで水がたまることになります。それ以上の流水は、ダム上部からあふれ出す仕組みとなっていますが、排水が追いつかなければ、第2波、第3波の豪雨が来たときには、90メートルの水面からの水の流出となり、コンクリートダム本体以外の側面部からあふれることも十分想像されます。 説明によれば、ダムの周りは、土砂を安定した岩盤が出るまで削り、その上で、岩盤中もセメントミルクで固めるということです。掘削工事により、豪雨時にダムに流れ込む土砂や自然林も同時に撤去する意味もあるのでしょう。 仮に、セメントミルクで固めた岩盤も、時間がたてば水圧で削れることや、長年の水の侵食により空洞化することも想定されます。 そこで質問です。 まず、1点目として、仮に穴が塞がったときに、水面下90メートル近くにある放流孔の詰まりを取り除くことは極めて難しく、時間と費用がかかります。想定外の穴詰まりへの対応はどのように考えているのでしょうか。 2点目として、熊本地震では、ダム建設予定地の上流部で多数の斜面崩壊が起きています。近年発生している気象状況の変化を踏まえると、湛水予定地の斜面対策について、いま一度検証すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 3点目として、先日、熊本市を初めとする白川河川流域の4市町村で構成する白川改修・立野ダム建設促進期成会は、工事の着実な推進を財務省や国土交通省に求めています。要望には、本体工事推進とともにダム周辺の景観への配慮も求められています。 恐らくは、柱状節理の景観を損ねることや阿蘇ユネスコ世界ジオパークの再認定を意識してのことでしょうが、自然景観には全くそぐわないダムが建設されると考えますが、それでいいのでしょうか。 最後に、私は、ダム完成と同時に、想定内では安全ですが、想定外の穴詰まりなどによる急激な河川水位の上昇が起こる危険性があるということは、ダム下流の住民に周知しておくべきだと思いますが、以上4点、土木部長の見解をお聞かせください。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) まず、1点目の立野ダムの放流孔についてですが、事業主体の国は、熊本地震後、各分野の第一人者から成る立野ダム建設に係る技術委員会を設置し、技術的な確認、評価を行いました。 その結果、放流孔内に流木や巨石が固定化されるような閉塞が生じることはなく、洪水調節能力にも影響はないと考えられるとの結論が得られたと、国から説明を受けております。 2点目の斜面対策につきましては、当技術委員会において、今後、地形判読、現地踏査、必要に応じて精査、安定性評価を実施し、さらに、必要に応じて対策工を実施することにより、湛水に対する斜面の安定性を確保できると考えられるとの結論が出されております。 既に一部の斜面では対策に着手済みであるとともに、現在、対策工の必要性などを精査されており、事業完了までには国において必要な対策が適切に実施されるものと考えております。 これらの結論は、国が設置した技術委員会において、技術指針との整合も含め、専門的な審議が尽くされたものであることから、県として検証を行う必要はないと考えております。 3点目の自然景観につきましては、これまで国に対し、最大限配慮するよう、知事を先頭に強く要望してまいりました。それを受けて、国は、専門家や県、地元町村も参加した立野ダム景観検討委員会を設置し、良好な景観を保全するための検討を行うとともに、ダム周辺の森林景観を再生するプロジェクトを始動するなど、良好な景観形成に向けた取り組みを実施されております。 県としましても、国に対し、このような取り組みが引き続き実施されるよう要望をしてまいります。 最後に、4点目の想定を超える豪雨時の対応についてですが、近年、全国各地で記録的な豪雨による災害が発生しております。このような状況を踏まえると、私たちは、河川改修やダムなどのハード対策のみでは防ぎ切れない大洪水は必ず発生するものと意識を転換する必要があります。 そのため、国や流域市町村と連携しながら、立野ダムを含む白川水系の治水対策を着実に進めると同時に、防災情報の伝達等、流域住民の予防的避難につながるソフト対策も含めた総合的な取り組みをしっかりと推進してまいります。  〔西聖一君登壇〕 ◆(西聖一君) 答弁をいただきましたが、全て国の技術検討委員会で検討済みであるということです。これだけの気象災害による各地の被害を目の前にしては、私は、納得がいく答弁ではないと思います。 事業主体及び管理主体は国ですから、県として主体的に動けない部分は理解します。しかし、私からの疑義も含めて、ダム建設反対派の質問に国交省が適切に対応してくれないことは残念な思いです。 知事も、国交省に対して、説明責任を果たすように求める発言をダム着工式のときの挨拶にも述べられているようですが、生命、財産を守るためにつくられる立野ダムが、完成後に危険な構築物とならないよう、県は、流域自治体と連携して、国交省にさらなる働きかけをしなければならないと考えます。 答弁の最後にありましたが、想定外にダムに水がたまるようなことになれば危険であるという認識は共有できていると思いますので、今後も議論の余地はあるとして、この質問は終わらさせていただきたいと思います。 最後に、要望を1点申し上げます。 熊本市電と熊本電鉄の結節並びに相互乗り入れについてです。 先日、熊本市の中心市街地の復興と成長を目的として、県、熊本市、熊本大、熊本経済同友会、熊本商工会議所でつくるくまもと都市戦略会議が開催された記事を拝見しました。 その中では、観光・交流戦略、人材育成・定着戦略、都市基盤再生戦略を柱として、今後の10年間に産官学連携で取り組む10のプロジェクトが表明されています。 そこで、このプロジェクトに資する施策として、私は、熊本市電と熊本電鉄の結節並びに乗り入れを実現していただきたいと考えています。 東京や大阪の大都市への出張移動で感じるのは、JRと私鉄の結節が大変進んでおり、PASMOやnimocaカードがあれば、今ではスマホさえあればということでしょうが、次々と乗りかえが簡単に行えます。 残念ながら、バスやタクシーに乗るということはほとんどありません。それだけ軌道による大量輸送、定時運行能力がすぐれているからだと思われますし、鉄道沿線に沿って、住宅街や商店、オフィス街が発展し、都市空間が形成されていると考えます。 私も、JRや熊本電鉄、市電はよく利用しますが、最近は利用客が大変ふえてきていることを肌で感じています。お昼のニュースでも熊本市電の利用率が上がったと流れておりましたが、私は、特に電鉄は堀川駅から利用しますが、終点が藤崎宮前ですので、そこから熊本市役所周辺のオフィスや繁華街に向かうには、1キロ以上の徒歩となり、もう少し近くまで軌道が延びてくれればといつも感じていますし、熊本駅前周辺の施設に移動するためには、バスか市電が便利なのですが、結節されていないので、移動に時間がかかり、不便となっています。 これから建設後はにぎやかになると思われる中心市街地の再開発地域や熊本駅ビルに出かける利用客は多くなると思いますが、市電の利便性が今以上に高まってくると考えられます。 以前、熊本電鉄が、水道町まで延線し市電との結節を計画したこともありましたが、3号線の渋滞状況等から断念した経緯もあります。 一方で、市電との結節ができたJRでは、新水前寺駅が水前寺駅を上回る乗客数になっています。 これからの熊本都市圏の活性化で、軌道の結節は、都市交通の利便性向上に向けて最も効果がある施策だと考えます。 そこで、上熊本駅にある市電と熊本電鉄終点を結節して、相互乗り入れをしたらどうかと提案するものです。 上熊本駅で、市電と電鉄の終点は、80メートルの間を接続するだけで済みます。 これまでは、市電と電鉄では線路の幅が異なるため、相互乗り入れができないとされていましたが、上熊本駅と北熊本駅間の電鉄路線の軌道を市電の路線幅に合わせることで、それが可能となります。 市電が北熊本駅まで乗り入れることで、電鉄とホームで結節することになります。北熊本駅からは御代志駅の合志市までつながっています。 御存じのとおり、合志市は、定住性にすぐれ、現在人口がふえていますが、それとともに、熊本市への通勤通学者数も年々ふえてきています。合志市と熊本市並びにJR熊本駅までが軌道でつながることで、大変利便性が高まり、都市圏域の交通の便が格段によくなります。 また、上熊本駅結節のもう一つのメリットは、踏切による渋滞の解消が見込まれることです。 上熊本駅周辺は、JR高架橋の工事も完了し、踏切による渋滞も解消されつつありますが、電鉄路線の2カ所の踏切があるため、その効果も薄れています。 そこで、電鉄の路線を移設して、踏切ではなく、市電と同様に、自動車と同じ信号による進入方式で上熊本駅に結節することで、踏切がなくなり、渋滞解消に大きく役立つことになります。 クリアしなければならない諸条件はあると思いますが、冒頭に述べた戦略会議の中でも、都市圏域内の公共交通網の充実というプロジェクトを比較的安価に、しかもスピーディーに実現できるのではないかと考えます。 県では、熊本都市圏都市交通マスタープランに基づくアクションプランを現在策定中と伺っていますが、実現可能性が高いと思われる市電と熊本電鉄の結節及び相互乗り入れの実現に向けて、関係部署の取り組みを要望いたします。 以上をもちまして、本日の質問及び要望を終了させていただきます。 代表質問ということで、2カ月前までは何を質問しようかと、質問項目に困っていましたが、あっという間にさまざまなな問題や課題が出てきて、もっともっと質問項目をふやしたいところでした。これだけやはり時代が動いているのだと改めて感じます。 負の行政課題に丁寧に対応していかなければならない蒲島知事を初めとする県の職員の皆さんには敬意を申し上げるとともに、政治の側も常に有権者に関心のある課題を共有していかなければならないと感じています。 最近は、選挙の投票率も下がり、議員へのなり手もいない地域も出ているなど、政治への無関心層がふえていることを心配します。これからさまざまな選挙が実施されますが、有権者にきちんと関心を持たれるような選挙となることを期待し、私もまた次期の議会でこのような発言ができるように頑張ってまいりたいなと思います。 長時間でありましたが、議員の皆様には御清聴いただきまして、まことにありがとうございました。(拍手) ○副議長(森浩二君) 以上で本日の代表質問は終了いたしました。 明21日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時38分散会...